ダットスキャン静注 症例集

◆ ダットスキャン®静注 症例集の作成にあたり

脳内ドパミントランスポーターシンチグラフィで用いられるSPECT製剤「ダットスキャン®静注(以下、DaTSCAN)」は、黒質から線条体に投射するドパミン神経細胞の密度を推定することのできる診断薬であり、パーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断における有用性は以前からよく知られていました。本剤は、従前から用いられているX線CT、MRI、脳血流シンチグラフィ(以下、脳血流SPECT)、MIBG心筋シンチグラフィ(以下、MIBG心筋シンチ)等とは全く異なる病態情報を得ることができる待望の診断薬であり、発売から約1年の短期間で、本邦の診療の現場で広く普及して使われるようになったことは、臨床家の本剤に対する期待の大きさを表しています。

一方で、正常例やさまざまな症例のDaTSCAN画像所見をみる機会が限られている状況で、読影や診断に難渋する経験をしている臨床家の方々も少なくないと思われます。このような中で、DaTSCAN画像の読影の一助となるような症例集を求める声が多くの施設から挙がっていました。そこで、このたび多数のご施設のご協力をいただき、臨床症状や他のモダリティの検査の所見も含めた症例集を作成いたしました。DaTSCAN画像の読影や、診断のプロセスをたどって頂き、日頃の診療や読影でお困りの点を少しでも解消することに役立てて頂ければ幸いです。

本剤の普及とその診断技術の向上により、パーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断が、より早期に、正確に行われるようになり、患者さんやそのご家族にとって、より良い治療を受ける契機となることを心から願っております。

2015年3月
監修 : 石井賢二先生
東京都健康長寿医療センター研究所 神経画像研究チーム

  • ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
    「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については本書の裏面をご参照ください。
  • ● DaTView/3D-SSPによる画像解析は、株式会社AZEの「AZE VirtualPlace隼」を使用することで実施可能です。
  • ● DaTSCANの定量的指標であるSBR(Specific Binding Ratio)は使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって異なりますので、その解釈には十分ご注意ください。
CONTENTS

 パーキンソン病(振戦優位型)

慶應義塾大学 医学部 神経内科 関 守信先生

 パーキンソン病の疑い

愛媛大学 薬物療法・神経内科学 野元 正弘先生

 本態性振戦からパーキンソン病への診断変更

天使病院 精神科 山本 晋先生、核医学画像提供 : 市立札幌病院

 SWEDD(Scans Without Evidence of Dopaminergic Deficit)

公立南丹病院 脳神経内科 小泉 崇先生、牧野 雅弘先生

 進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy, PSP)(1)

国立病院機構大牟田病院 放射線科 熊副 洋幸先生、神経内科 菅原 三和先生

 進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy, PSP)(2)

東京都健康長寿医療センター 放射線診断科 伊藤 公輝先生

 特発性正常圧水頭症

岡山大学病院 神経内科 佐藤 恒大先生、阿部 康二先生

 特発性正常圧水頭症とパーキンソン症候群の合併

岐阜大学 医学部 脳神経外科 中山 則之先生

 多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA-P)

香川県立中央病院 神経内科 森本 展年先生

 多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA-C)(1)

香川県立中央病院 神経内科 森本 展年先生

 多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA-C)(2)

国立病院機構大牟田病院 放射線科 熊副 洋幸先生、神経内科 菅原 三和先生

 脳血管性パーキンソニズム(1)

関東中央病院 神経内科 織茂 智之先生

 脳血管性パーキンソニズム(2)

小牧市民病院 脳神経外科 飯塚 宏先生

 薬剤性パーキンソニズム

東京都健康長寿医療センター 放射線診断科 伊藤 公輝先生

 レビー小体型認知症(DLB)の疑い

横浜新都市脳神経外科病院 内科・認知症診断センター 眞鍋 雄太先生

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)の鑑別

東京都健康長寿医療センター 放射線診断科 伊藤 公輝先生

 純粋自律神経不全症(Pure Autonomic Failure, PAF)

神戸大学大学院医学研究科 内科学講座 神経内科 関口 兼司先生

*本資料にはMIBG効能外の内容を含みますが、使用を推奨するものではありません。