ダットスキャン静注 症例集
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
DaTViewによる画像解析は、核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCONを使用する事で実施可能です。

SWEDD(Scans Without Evidence of Dopaminergic Deficit)

症例提供 : 公立南丹病院脳神経内科小泉 崇先生*、牧野 雅弘先生**

現所属*: 京都府立医科大学附属北部医療センター 神経内科** : 京都岡本記念病院 脳神経内科

70歳台後半 男性

主  訴

右上肢の安静時振戦・筋強剛、右下肢の安静時振戦、歩行障害

現 病 歴

X-4年 : 右優位の振戦で発症し、歩行障害及び安静時振戦の増強があった。

 

X-1年1月 : 当科初診。初診時、右上肢の安静時振戦・筋強剛及び右下肢に安静時振戦を認めた。
それまで胃腸障害に対してスルピリドが処方されており、まず同薬剤の中止が行われた。
頭部MRI画像では特記すべき異常所見は認めなかった。
心臓交感神経シンチグラフィでは、H/M比:早期像2.30、後期像2.27と低下を認めなかった。薬剤性パーキンソン症候群の可能性は否定できなかったが、スルピリド中止後も左右差のある安静時振戦が持続し、姿勢反射障害も出現してきたため、臨床症状からパーキンソン病(PD)と診断された。

 

X-1年3月 : プラミペキソールで治療開始。その後自覚的には若干の症状改善をみていた。

 

X年7月 : 精査のためDaTSCANを実施した。

治療・経過

PDではない可能性が高いと判断され、プラミペキソールを漸減中止した。中止後も症状には変化がない。

MRI
FLAIR

FLAIR画像

T2WI

T2WI画像

 

特記すべき異常所見は認めなかった。

心臓交感神経シンチグラフィ

H/M比 : 早期像2.30、後期像2.27と低下を認めなかった。

効能効果外

DaTSCAN
Original画像

Original 画像

 

画像所見からDaTSCANの取り込み低下は
認められなかった。また、SBR値は左右ともに4.94と正常値であり、左右差(AI=0.0%)も認められなかった。

DaTView結果画像

DaTView 結果画像

SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。

SWEDD

DaTSCANの海外第Ⅲ相臨床試験では、臨床診断でPDと診断されたにもかかわらず本検査で異常のない症例が21%報告されており2)、これらの患者はSWEDDと呼ばれ、本剤が新しい診断基準を提供することとなった。
SWEDDは診断困難な本態性振戦等を含むと考えられており、既存の臨床診断ではPDと誤診される2)。本剤はPDが疑われる患者集団又はPDと臨床診断された患者集団からSWEDDを除外することが可能であり、PD患者の適切な患者管理、SWEDD症例における無用な抗PD薬の長期投与の回避に寄与することが期待される。

2)Marshall VL et al. Mov Disord 2009; 24(4): 500-508

まとめ

PDの診断基準を満たしているが、DaTSCANで正常集積を示す病態はSWEDDと定義されている。レボドパの効果は認められない病態であり、ジストニア振戦及び本態性振戦、心因性パーキンソニズムなどが原因疾患として想定されている。
本症例はDaTSCANの所見より、PDではない可能性が高いと判断され、プラミペキソールを漸減中止した。中止後も症状には変化がなく、PD以外のパーキンソン症候群と考えられた。これにより不要な薬剤投与を継続することが回避されたと考えられる。