
DaTViewによる画像解析は、核医学画像解析ソフトウェアmedi+FALCONを使用する事で実施可能です。
本態性振戦からパーキンソン病への診断変更
主 訴 |
四肢の振戦 |
現 病 歴 |
X-18年 : 2年前から手足がふるえると訴え、当科を初診。本態性振戦(ET)と診断。
X-9年 : 当科再受診。四肢の振戦は上肢優位に安静時にもみられ、怒ったときや物をもったときに増悪。CNZPを再開するも眠気でアドヒアランス不良。βブロッカーも無効。
X-6年 : A病院神経内科を紹介再受診時、両手の姿勢時振戦のみでETと判断(ただし増悪傾向あり)、ジアゼパム(DZP)、CNZPを使用するも無効。同時期、排尿障害で泌尿器科より投薬あり。
X-2年 : 現主治医担当。日本語が通じず、意思疎通が困難。CNZPは眠気が強く、DZPは無効。
X-1年 : 受診時に通訳が同伴。MMSE 27点。
X年 : DaTSCANを施行、その後、他の神経画像検査(MRI、心臓交感神経シンチグラフィ※、脳血流SPECT)も施行。 |
治療・経過 |
PDと診断。ロピニロール0.75mgを開始、現在同剤2mgで振戦は軽減してきている。 |
※効能効果外


画像からは特に異常はみられない。VSRADadvanceでのVOI内萎縮度(Z-score)は1.23。

両側頭頂葉、後頭葉、前頭葉の血流低下を認める。

視覚的に両側被殻及び左側尾状核の集積低下を示していた。
また、SBRは6.22であり、当施設のファントム実験結果からも、異常所見と判断した。


SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。
SC(+)条件下では、SC(-)の約1.5倍のSBRを示した。当院ではSC(+)でDaTSCANの収集を行っているため、Boltらの論文1)で示されているカットオフ値4.5を考慮し、SBR=6.75を暫定的なカットオフ値としている。
※SC : 散乱線補正、CT/AC : X線CTによる減弱補正、+ : あり、- : なし
1) Tossici-Bolt et al. EJNMMI 2006; 33(12) : 1491-1499
■まとめ
長年、本態性振戦と診断され、治療にもかかわらず症状が改善せず悪化傾向にあった。外国人のために意思疎通がとりづらかったが、DaTSCANの所見を機に精査を進め、PDと診断した。治療薬を抗PD薬に変更し、20年来の症状が軽減した貴重な症例である。