●紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
●DaTViewによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」†を使用することで実施可能です。(† 承認番号: 301ADBZX00045000)
特発性正常圧水頭症とパーキンソン症候群の合併
主 訴 |
歩行障害 |
現 病 歴 |
X-5年 : 小刻み歩行が出現。
X-3年 : 高血圧と頭痛のためA病院脳神経外科を受診。この際の頭部精査では異常を指摘されていない。
X-2年 : 歩行障害が進行したためB病院神経内科を受診。パーキンソン病(PD)は否定的(心臓交感神経シンチグラフィ正常)で特発性正常圧水頭症(iNPH)が疑われた。 同院脳神経外科でタップテストが2回施行され、いずれも歩行障害の改善が認められたため陽性の判断。脳室腹腔短絡術が勧められたが、頭部の手術のため不安となり当科へセカンドオピニオンとなった。
X-2年12月 : 腰椎腹腔短絡術を施行。L3-4 paramedianに穿刺し、コッドマン・ハキム圧可変式バルブを背部留置。
X年4月 : 右上下肢の振戦が出現し、筋力低下も加わり徐々に歩行障害進行。
X年6月 : DaTSCANを施行。両側線条体の集積が著明に低下しており、PDの併発が疑われたため神経内科を紹介。 |
治療・経過 |
レボドパ内服を開始し、安静時振戦の軽快がみられている。 |
術前
Evans Index 0.31、シルビウス裂の開大は中等度、高位円蓋部・正中脳溝狭小化あり、脳梁角は90度程度。左基底核に陳旧性ラクナ梗塞巣あり。
術後
シルビウス裂の開大、高位円蓋部・正中脳溝狭小化は軽快し、脳梁角は鈍角化。
両側線条体の集積が著明に低下。
■まとめ
アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、脳血管障害などが合併していることがあり、シャント術の効果は合併していないものに比べ小さい。
本症例では、心臓交感神経シンチグラフィは正常であった。DaTSCANは低下しており、レボドパの効果がみられたことより、初期のPDあるいは他の変性性のパーキンソン症候群の可能性も否定できなかった。
アルツハイマー型認知症やPD、脳血管障害など他の疾患がiNPHに合併することがある。合併がない場合に比べて合併がある場合はシャント術の効果が減弱する。DaTSCANを含めた各種SPECT評価を組み合わせることでiNPHとの鑑別や合併の有無を判別し得た症例である。