ダットスキャン静注 症例集
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
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レビー小体型認知症(DLB)

症例提供 : 神戸大学大学院医学研究科精神医学分野 山本 泰司先生

現所属 : 神戸大学保健管理センター・内科系病態情報学

70歳台後半 男性

主  訴

パーキンソン症状、もの忘れ、錯視

家 族 歴

3親等の親族内に、認知症及び神経疾患(パーキンソン病(PD)を含む)の家族歴なし。

現 病 歴

30歳台から70歳頃まで、不安神経症の診断で神経科クリニックの受診歴あり。

 

X-2年初め頃 : 左上肢と頭部の振戦が出現し近医を受診。同年5月、企図振戦も加わったため前医を受診し、パーキンソン症候群と診断され抗PD薬の投薬を開始した(HDS-R 22/30)。数種類の抗PD薬の変薬調整を続けていた。

 

X-1年1月 : 同じ質問を繰り返すなど、もの忘れが目立ち始めた。同年夏頃より「誰かが家に来た」という言動(明らかな幻視ではなく記憶錯誤に近い印象)が出現したため、ガランタミンを追加し8mg→16mg/日と増量維持した。
その後、もの忘れが進行したため、同年10月に当科に精査目的で紹介受診となった。MMSE 22/30(計算-2、遅延再生-3、日時の見当識-3)。
同年12月の再検時、ADAS 19.0、MMSE 22/30で変動なし。立方体模写は可、時計描画は不可。右手指の丸薬丸め振戦U++)、両上肢の固縮(軽度)、頸部振戦(3-5Hz、前後方向)あり、軽度の企図振戦および運動緩慢あり。レム期睡眠行動障害(-)、認知機能の変動は目立たず。レビー小体型認知症(DLB)の臨床診断基準(2005年、第3版)4)では、上記の中心的特徴に加えて、中核的特徴3項目のうち1項目(パーキンソニズム)のみみられた(possible DLB)。

4) McKeith IG et al. Neurology 2005; 65(12): 1863-1872

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MRI
T1WI

T1WI画像

FLAIR

FLAIR画像

 

軽度から中等度の全般性大脳萎縮を認め、両側前頭葉内側及び海馬は中等度の萎縮がみられた。側脳室(前角及び後角ともに)周囲を含む深部白質虚血変化はやや強かった。

IMP-脳血流SPECT
Original画像

T1WI画像

 

3D-SSP解析(血流画像)

T1WI画像

3D-SSP解析(Z-score画像)

T1WI画像

 

Original画像では、両側の頭頂葉に軽度血流低下を認めた。3D-SSP解析では両側の後部帯状回及び楔前部並びに頭頂葉に軽度から中等度の血流低下があり、後頭葉には内側面、外側面とも有意な血流低下を認めなかった。両側前頭葉の血流低下は加齢性変化と判断。

DaTSCAN
Original画像(グレースケール)

Original画像(グレースケール)

 

Original画像(カラースケール)

Original画像(カラースケール)

 

DaTView結果画像

DaTView結果画像

SBRは使用機種、コリメータ、画像再構成法等によって変動します。

 

両側の被殻及び尾状核の著明な集積低下を認め、左右差あり。
ADは否定的であり、DLB、PD(認知症を伴うパーキンソン病(PDD))の可能性を示唆。
左右差が強いため、PDD>DLBの可能性あり。しかし、いわゆる「1-year rule」でも判断困難。

まとめ

本症例は、パーキンソン症状で発症し、そのちょうど1年後に認知症症状が出現。さらにその半年後から錯視が加わった症例。臨床診断として当初はpossible DLB(PDD)を疑って精査を進めたが、脳血流SPECTではADパターンの所見を示したため、鑑別診断の目的でDaTSCANを施行した。その結果、線条体の取り込みの著明な低下(左右差有り)を認め、改めてprobable DLB(PDD)と臨床診断するに至った。しかし、計2回の認知機能検査の失点パターンの特徴(遅延再生で-3から-1、日時の見当識で-3から-5、serial7はいずれも-2で変化なし)および脳血流SPECTでのADパターンを考慮すると、DLBに加えてAD病変の合併も否定できないため、今後はアミロイドPETなども検討する必要があろう。