●紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
●DaTViewおよび3D-SSPによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」†を使用することで実施可能です。(† 承認番号: 301ADBZX00045000)
レビー小体型認知症(DLB)
主 訴 |
パーキンソン症状、もの忘れ、錯視 |
家 族 歴 |
3親等の親族内に、認知症及び神経疾患(パーキンソン病(PD)を含む)の家族歴なし。 |
現 病 歴 |
30歳台から70歳頃まで、不安神経症の診断で神経科クリニックの受診歴あり。
X-2年初め頃 : 左上肢と頭部の振戦が出現し近医を受診。同年5月、企図振戦も加わったため前医を受診し、パーキンソン症候群と診断され抗PD薬の投薬を開始した(HDS-R 22/30)。数種類の抗PD薬の変薬調整を続けていた。
X-1年1月 : 同じ質問を繰り返すなど、もの忘れが目立ち始めた。同年夏頃より「誰かが家に来た」という言動(明らかな幻視ではなく記憶錯誤に近い印象)が出現したため、ガランタミンを追加し8mg→16mg/日と増量維持した。 |
ダットスキャン静注 症例集 資料がダウンロード可能です。
本資料のダウンロードご希望の方はこちらから>>
軽度から中等度の全般性大脳萎縮を認め、両側前頭葉内側及び海馬は中等度の萎縮がみられた。側脳室(前角及び後角ともに)周囲を含む深部白質虚血変化はやや強かった。
Original画像では、両側の頭頂葉に軽度血流低下を認めた。3D-SSP解析では両側の後部帯状回及び楔前部並びに頭頂葉に軽度から中等度の血流低下があり、後頭葉には内側面、外側面とも有意な血流低下を認めなかった。両側前頭葉の血流低下は加齢性変化と判断。
両側の被殻及び尾状核の著明な集積低下を認め、左右差あり。
ADは否定的であり、DLB、PD(認知症を伴うパーキンソン病(PDD))の可能性を示唆。
左右差が強いため、PDD>DLBの可能性あり。しかし、いわゆる「1-year rule」でも判断困難。
■まとめ
本症例は、パーキンソン症状で発症し、そのちょうど1年後に認知症症状が出現。さらにその半年後から錯視が加わった症例。臨床診断として当初はpossible DLB(PDD)を疑って精査を進めたが、脳血流SPECTではADパターンの所見を示したため、鑑別診断の目的でDaTSCANを施行した。その結果、線条体の取り込みの著明な低下(左右差有り)を認め、改めてprobable DLB(PDD)と臨床診断するに至った。しかし、計2回の認知機能検査の失点パターンの特徴(遅延再生で-3から-1、日時の見当識で-3から-5、serial7はいずれも-2で変化なし)および脳血流SPECTでのADパターンを考慮すると、DLBに加えてAD病変の合併も否定できないため、今後はアミロイドPETなども検討する必要があろう。