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FDGスキャン®ポジトロン製剤
Q.集積機序は?
F081860
A.

腫瘍細胞においては、グルコーストランスポーターの発現による糖取り込み能の増加、解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性の亢進並びに糖新生系の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼ活性の低下によって、糖代謝が亢進しています。

 

心筋においては、虚血状態に陥った場合、グルコーストランスポーターの増加による糖取り込み能の増加及び解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性亢進により、糖代謝が亢進しています。

 

てんかんの脳においては、焦点および発作に関係する部位の神経細胞の活動が増加している場合に糖代謝が亢進する一方、神経細胞の活動が減少している場合では糖代謝が低下します。

 

18F-FDGは、グルコースと同様にグルコーストランスポーターにより細胞に取り込まれ、ヘキソキナーゼによりリン酸化を受けますが、グルコースと異なり解糖系の酵素であるホスホグルコースイソメラーゼによるフルクトースへの異性化反応を受けないことから、リン酸化体として細胞内に滞留します。したがって、その滞留した18F由来のポジトロンを核医学検査装置で追跡することにより、腫瘍細胞の診断、虚血性心疾患における心筋バイアビリティの診断、及びてんかん焦点の診断が可能となります1)

 

また、炎症細胞では癌細胞と同様に細胞膜のグルコーストランスポーターのGLUT1およびGLUT3が増加しており、これらを介しグルコース利用が亢進していると考えられています2)

【参考文献】
1) FDGスキャン注 添付文書(改訂7版), 2018
2) 日本核医学会 : 「FDG PET、PET/CT診療ガイドライン2018」 p.19, 2018
mfaq270
Q.排泄経路・排泄率は?
F081860
A.

第Ⅰ相臨床試験において、健常成人男性3例に18F-FDG 185MBq(2mL)を静脈内投与し、投与後6時間まで経時的に蓄尿を行い、尿中放射能を測定しました。
尿中放射能累積排泄率(3例の平均値±標準偏差)は投与後120分で22.3±2.6% ID、投与後240分で26.4±2.3% ID、投与後6時間で32.1±2.9% IDと経時的に増加しました。腸管への放射能分布率は最大で2.4±0.29% IDであったことから、主たる排泄経路は腎・尿路系であることが示されました1)

 

※ID:投与量(Injected Dose)

【参考文献】
1) 申請資料概要 FDGスキャン注 FDGスキャン-MP注に関する資料 p.へ32-へ50
mfaq271
Q.血中濃度の推移は?
F081862
A.

第Ⅰ相臨床試験において、健常成人男性3例に18F-FDG 185MBq(2mL)を静脈内投与し、投与後6時間まで経時的に静脈採血を行い、血中放射能を測定しました。静脈血中放射能分布率(3例の平均値±標準偏差)は投与後3分で31.1±12.9% ID、投与後6時間で3.3±0.5% IDとなり、18F-FDGは血中から速やかに消失することが示されました1)

 

※ ID:投与量(Injected Dose)

【参考文献】
1) 申請資料概要 FDGスキャン注 FDGスキャン-MP注に関する資料 p.へ32-へ50
mfaq272
Q.正常集積部位は?
F151841
A.

18F-FDGは、ブドウ糖類似の化合物であるので、体内のブドウ糖とほぼ同様の分布を示します。脳は最も糖代謝の盛んな臓器であるので、強く集積を示し、その他に、糖代謝の程度に応じて各臓器への集積がみられます。また18F-FDGの排泄経路として、腎臓・尿管・膀胱が強く描出されます1)

 

正常像(70歳、男性)

F151841正常像.jpg

【症例報告者】 大阪市立大学 東山 滋明先生

 

生理的集積は変動します。 (1)筋肉運動状態、(2)血糖値・インスリン値、(3)食事摂取の状態、(4)月経周期、(5)治療との関係など、検査時の生理的状態の把握が必要です1)

【参考文献】
1) 西村 恒彦 他 : クリニカルPET一望千里 p.66-67, 2004
mfaq273
Q.インスリンが併用注意なのはなぜですか?
F021838
A.

インスリンはブドウ糖を肝臓や筋肉並びに脂肪組織に取り込ませるように働くことから、18F-FDGの腫瘍への集積とバックグラウンドとのコントラストが低下する可能性が示唆されたためです1)

 

添付文書1)の【使用上の注意】 「2.相互作用」には以下のように記載しています。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等

措置方法

危険因子

膵臓ホルモン

インスリン

本剤投与前4時間以内のインスリンの投与は避けること

本剤の腫瘍への集積とバックグラウンドとのコントラストが低下する可能性がある

【参考文献】
1) FDGスキャン注 添付文書(改訂7版), 2018
mfaq274
Q.腫瘍検査で、血糖値が高い場合の注意点について情報はありますか?
F131803
A.

添付文書1)の【使用上の注意】 「7.適用上の注意」(一部抜粋)には以下のように記載しています。

(1) 投与前:本剤の集積は血糖値の影響を受ける可能性があるため、本剤投与前4時間以上は絶食し、糖尿病患者では血糖をコントロールするなど、本剤投与時には適切に血糖値を安定化させること。
心筋バイアビリティ診断において絶食する場合、健常部心筋への本剤の集積が抑制されない例があり、虚血心筋(糖代謝が亢進している)との鑑別に注意を要することがある。
なお、血糖値200mg/dL以上では、本剤の患部への集積の低下により偽陰性所見を呈する可能性が高いため、投与しないことが望ましい。

【参考文献】
1) FDGスキャン注 添付文書(改訂7版), 2018
mfaq275
Q.上部・下部消化管内視鏡検査によるPET画像への影響について情報はありますか?
F021849
A.

日本核医学会・日本核医学会PET核医学分科会「FDG-PETがん検診ガイドライン」1)の「9.  検査項目   9-7)内視鏡による消化管の検査」には以下の記載があります。

上部消化管内視鏡、大腸内視鏡検査を検診に含める場合には、PET画像への影響と術者被曝の観点から別日に行うことが望ましい。ただ、PET前の上部消化管内視鏡検査はPET画像に影響を与えないとの報告もある。この場合、グルカゴンは使用すべきでない。
【参考文献】
1) 日本核医学会・日本核医学会PET核医学分科会 : 「FDG-PETがん検診ガイドライン(2012年改訂)」 p.15, 2012
mfaq276
Q.ペースメーカーが植え込まれている場合の画像への影響について情報はありますか?
F051852
A.

[PETへの影響]
「体内に金属など消滅放射線の通過を妨げる構造物が存在すると、その深部に存在するFDG集積が検出できないことがある。ペースメーカーやインプラントなどがその原因となる。また、バックグラウンドの放射線も遮蔽されるため、cold areaとして描出される。また、これらの構造物の周囲に炎症反応が生じ、FDGの集積が生じることもある。腫瘍病巣を検出するという点では偽陽性所見となるので、注意が必要である。」としている報告1)があります。

 

[PET/CTへの影響]
CT画像上ペースメーカー部でX線の吸収が大きく、吸収補正の過補正が生じることで、PET画像上に偽陽性が生じたと報告されています2,3)。偽陽性となる集積は、吸収補正なしの画像を作成すると消失するため確認できたと報告されています2)。技術の改良により、このようなアーチファクトは低減可能とする報告3)もあります。

【参考文献】
1) 川井 弘光 : FDG-PET検査の正常像とピットフォール p.50-51, 2005
2) Bujenovic S 他 : Mol Imaging Biol 5:20-22, 2003
3) Ahmed FZ 他 : J Nucl Cardiol 22:219-220, 2015
mfaq277
Q.18F-FDGを投与後の読書やテレビ視聴、音楽鑑賞などによる画像への影響について情報はありますか?
F131814
A.

読書やテレビ視聴による眼筋への集積が報告されています1,2)
検査部位が脳の場合、読書やテレビ視聴、音楽鑑賞などにより視覚野や聴覚野の集積が増加するとの報告3-5)があります。

 

日本核医学会「FDG PET、PET/CT診療ガイドライン」6)の「1.てんかん (4)検査法 (d)検査の注意点 ②測定上の留意点」には、以下の記載があります。

脳糖代謝は神経活動により変化しやすいため、FDG投与前30分より安静に心掛け、投与は閉眼で行い、投与から検査開始までできるだけベッド上で安静にしておく。
【参考文献】
1) 西村 恒彦 他 : クリニカルPET一望千里 p.83, 2004
2) 伊藤 正敏 他 : 臨床医のためのクリニカルPET p.9-17, 2001
3) 伊藤 正敏 他 : クリニカルPETの最前線 p.182-185, 2004
4) 織田 圭一 他 : 日本放射線技術学会雑誌 65:87-99, 2009
5) 河村 誠治 他 : 放射線医療技術学叢書(26) PETおよびPET/CT検査技術の基礎 p.75-88, 2009
6) 日本核医学会 : 「FDG PET、PET/CT診療ガイドライン2018」 p.8‐10, 2018
mfaq278
Q.検査前に、シュガーレスガムを噛んだ場合の画像への影響について文献報告はありますか?
F031813
A.

18F-FDG投与前に3時間シュガーレスガムを噛んだ患者において、18F-FDG投与直前の血糖値は正常であったが、咬筋、内側翼状筋、舌筋への高い集積が認められ、ガム咀嚼によって引き起こされる筋肉の代謝活性の増加を反映したとの報告1)があります。

【参考文献】
1) Kawabe J他 : Clin Nucl Med 28:220-221, 2003
mfaq279
Q.18F-FDG投与後、患者の臨床検査値に異常(有害事象)を認めた例はありますか?
F121863 
A.

添付文書1)の【使用上の注意】 「3.副作用」には以下のように記載しています。

3.副作用 承認時及び製造販売後の臨床試験の合計903例中117例(13.0%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。主な副作用は、嘔気6件(0.7%)、そう痒感4件(0.4%)であった。また、主な臨床検査値の異常は、尿潜血陽性17件(1.9%)、尿蛋白陽性15件(1.7%)、尿糖陽性12件(1.3%)、血中カリウム増加8件(0.9%)、リンパ球百分率減少8件(0.9%)、血中尿素窒素増加7件(0.8%)、血圧上昇7件(0.8%)等であった(再審査終了時)。
使用成績調査及び特定使用成績調査の合計1291例中2例(0.2%)に副作用が認められた(再審査終了時)。

 

 その他の副作用

  その他の副作用の図

 頻度は、承認時及び製造販売後の臨床試験の集計結果から算出した。

※自発報告につき頻度不明

 

なお、第Ⅰ相臨床試験2)、第Ⅲ相臨床試験2)、及び追加第Ⅲ相臨床試験2-4)において、健常成人男性3例と癌患者284例を対象として、18F-FDG投与前後に、医師による診察、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査を行った結果、副作用と判断された臨床検査値に関する異常は11例15件で発生しました。そのうち、主な臨床検査値の異常は、尿潜血陽性4件(1.4%)、血清カリウム増加3件(1.1%)、尿中ブドウ糖陽性2件(0.7%)でした。

 

*:第Ⅰ相臨床試験では、投与前ならびに投与24時間及び1週間後2)。第Ⅲ相臨床試験、追加第Ⅲ相臨床試験では、投与前ならびに投与翌日から7日以内2)

【参考文献】
1) FDGスキャン注 添付文書(改訂6版), 2018
2) 申請資料概要 FDGスキャン注 FDGスキャン-MP注に関する資料 p.ト1-ト70
3) Kubota K 他 : Ann Nucl Med 25:787-795, 2011
4) Kubota K 他 : Ann Nucl Med 25:777-786, 2011
mfaq2700