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カルディオダイン®
サイクロトロンRI製剤
Q.心筋への集積機序は?
F080698
A.

123I-BMIPPは、脂肪酸として細胞内に取り込まれた後、アシルCoA合成酵素によって活性化され、トリグリセリド及びミトコンドリアに取り込まれます。脂肪酸のβ位にメチル基が導入されているためにα酸化、β酸化を受けて代謝されますが、第一段階で直接β酸化を受けるわけではないので心筋細胞内に長くとどまります。123I-BMIPPの局所心筋内分布は心筋細胞内のATP濃度、トリグリセリド含有量及びミトコンドリア機能の変化を反映するなど、脂肪酸としての特徴を有します1)

【参考文献】
1) カルディオダイン注 添付文書(第1版), 2022改訂
Q.尿中排泄率は?
F080698
A.

健常成人男子に123I-BMIPP 111MBqを静注し、0~2時間、2~3時間、3~6時間及び6~24時間に蓄尿を行い、尿中放射能の経時変化について検討しました。尿中への排泄は投与後漸次増加し、その累積排泄率は静注後0~6時間で約10%、静注後6~24時間で約22%でした1)

【参考文献】
1) カルディオダイン注 インタビューフォーム(改訂5版), 2016
Q.前処置として絶食の必要性について情報はありますか?
F030608
A.

「原則として検査前の食事は絶食が望ましい。ただパルミチン酸などの直鎖の脂肪酸とは異なり、β酸化の影響をあまり受けないため、食事の影響は強く受けない。」としている報告1)があります。

 

海外の報告ですが、健常者6例に対して、123I-BMIPP投与60分前にグルコース75gと食品を摂取させた時と絶食時の2回検査を行い比較したところ、摂食時の血中半減期は絶食時よりも短く、心臓や肝臓への123I-BMIPPの取り込みは上昇、心臓からの洗い出しが増加したが、適切な画像が得られたとの報告2)があります。

【参考文献】
1) 玉木 長良 他 : わかりやすい核医学 p.77, 2016
2) Geeter F 他 : J Nucl Med 39:1850-1856, 1998
Q.123I-BMIPP投与後、副作用や臨床検査値に異常(有害事象)を認めた例はありますか?
F120631
A.

添付文書1)の「11. 副作用」(一部抜粋)及び「17. 臨床成績」(一部抜粋)には以下のように記載しています。

11.2 その他の副作用

 

17.1 有効性及び安全性に関する試験

17.1.1 国内第Ⅲ相臨床試験
全587例に対し、副作用を21 例に認め、その内訳は異臭、味覚異常等19例、注射部疼痛2例であった。

 

 

なお、第Ⅰ相臨床試験において、健常成人男性6例(平均年齢25.7±2.5歳)を対象として、123I-BMIPP投与前ならびに投与24時間及び1週間後に、医師による診察、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査を行った結果、123I-BMIPPに起因すると考えられる有意な検査値の変動は認められませんでした2)

【参考文献】
1) カルディオダイン注 添付文書(第1版), 2022改訂
2) 鳥塚 莞爾 他 : 核医学 28:681-690, 1991
Q.201Tlとの逆ミスマッチについて文献報告はありますか?
F154624
A.

123I-BMIPPと比較して201Tlの集積低下が著しい場合を、逆ミスマッチと定義している報告1-9)があります。
逆ミスマッチの原因については、201Tlのアーチファクトによるものとしている報告1-4)や、虚血性心疾患や心筋症等の例で病態を反映したものであると考察している報告5-9)があります。

【参考文献】
1) 上嶋 健治 他 : 循環器科 42:60-65, 1997
2) Jing-Tao Yang 他 : Eur J Nucl Med 24:1099-1106, 1997
3) 中田 智明 他 : 核医学 32:1061-1071, 1995
4) Ueshima K 他 : Int J Card Imaging 18:273-278, 2002
5) Hatano T 他 : Circ J 70:184-189, 2006
6) 大阪 肇 他 : 核医学技術 23:525-527, 2003
7) 鳥塚 莞爾 他 : 核医学 29:413-433, 1992
8) 大塚 誠 他 : RADIOISOTOPES 41:362-365, 1992
9) 下山 克也 : 日本臨床生理学会雑誌 29:293-304, 1999
Q.後期像を追加することの臨床的意義について文献報告はありますか?
F154625
A.

急性心筋梗塞では洗い出し率の測定が心事故予測に有用1)、血行再建術後の生存心筋を反映2)、不安定狭心症と安定狭心症の鑑別に洗い出し率の測定が有用3)等の報告があります。また、中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)では洗い出し率の低下を検査所見の1つとしている報告があります4)

【参考文献】
1) 三津山 勇人 他 : 核医学 42:97-105, 2005
2) 宮永 一 他 : 日本冠疾患学会雑誌 4:119-122, 1998
3) 久武 真二 他 : 核医学 41:9-16, 2004
4) 厚生労働省(2009-2014)~日本医療研究開発機構(2015-) 難治性疾患実用化研究事業中性脂肪蓄積心筋血管症研究班 :
「診断の手引き 中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy)」1-8, 2016
Q.心筋全体が描出されなかったという文献報告はありますか?
F050623
A.

123I-BMIPPで心筋に集積が認められなかった47例全例の遺伝子を解析したところ、全例I型CD36欠損症であったという報告1)があります。
心筋の123I-BMIPP無集積所見は検査数の0.3~1.2%に認めるとの報告2)があります。

 

※I型CD36欠損症について :
CD36は長鎖脂肪酸のトランスポーターで、心筋以外にも血小板、単球、マクロファージ、脂肪組織、骨格筋に存在しています。CD36欠損症には、単球と血小板の両者に欠損が認められるⅠ型と血小板のみに欠損を認めるⅡ型があるとされています2,3)

【参考文献】
1) Tanaka T 他 : J Lipid Res 42:751-759, 2001
2) 山﨑 純一 他 : Q&A 心臓核医学診断 p.158-161, 2003
3) 渡辺 賢一 他 : 核医学 34:1125-1130, 1997