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マイオビュー®注シリンジ
99mTc製剤
Q.心筋への集積機序は?
F084604
A.

99mTc-tetrofosminは、静注後血流とともに急速に心筋に集積し、しばらく保持されます1)。 ラット心筋を用いたin vitro の実験では、99mTc-tetrofosminの心筋への摂取、保持には心筋細胞膜及びミトコンドリアの膜を介した電位依存性の脂溶性陽イオンの拡散が関連することが示唆されています2,3)。更に、イヌの開胸心を用いた実験では、99mTc-tetrofosminの取込みは冠血流と良好な直線性を示しており、心筋血流をよく反映していることが示唆されています4)

【参考文献】
1) 久保 敦司 他 : 核医学 29:1165-1176, 1992
2) Platts EA 他 : J Nucl Cardiol 2:317-326, 1995
3) Antoine Y 他 : J Nucl Cardiol 2:327-333, 1995
4) Sinusas AJ 他 : J Nucl Med 35:664-671, 1994
Q.排泄経路・排泄率は?
F084604
A.

主に肝胆道系及び尿路系から排泄されます。

英国の健常成人男子12例に対して、安静時又は運動負荷時に99mTc-tetrofosminを投与したとき、投与後48時間までに、尿中及び便中にほぼ同量ずつ、累計で投与量の約60~80%が体外に排泄されたとの報告1)があります。

【参考文献】
1) Higley B 他 : J Nucl Med 34:30-38, 1993
Q.前処置について情報はありますか?
F030606
A.

特に必須となる前処置はない1)とされていますが、薬剤投与後から撮像までの間に乳製品等の高脂肪食を摂取させている報告2,3)もあります。

 

99mTc-tetrofosminの撮像は添付文書上投与後10分以降から可能ですが、投与後早期では肝集積が高く、一般的には投与30~60分後、肝臓に集積した薬剤が胆道系から排泄されるのを待って行われています。高脂肪食を摂取することで、肝臓からの洗い出しと胆嚢からの排泄を促進させ、アーチファクトの軽減に有効であったと報告されています3)

【参考文献】
1) 日本放射線技術学会核医学分科会 : 放射線医療技術学叢書(23)核医学における臨床技術 p.55, 2005
2) 久野 晴丘 他 : 日本放射線技術学会雑誌 56:1044-1051, 2000
3) 西村 恒彦 他 : EBMに基づいた誰でもわかる心臓核医学 p.10-16, 2002
Q.99mTc-tetrofosmin投与後、副作用や臨床検査値に異常(有害事象)を認めた例はありますか? NEW
F120634
A.

添付文書1,2)の「11. 副作用」(一部抜粋)及び「17. 臨床成績」(一部抜粋)には以下のように記載しています。

*11.1 重大な副作用

11.1.1 ショック,アナフィラキシー (いずれも頻度不明)

 

11.2 その他の副作用

その他の副作用

 

17.1 有効性及び安全性に関する試験

17.1.1 国内第Ⅱ相試験
全52 例に対し、本剤に起因する異常所見は認められなかった。

 

17.1.2 国内第Ⅲ相試験
全355 例に対し、有害事象として熱感と腹部不快感が各1 件認められた。

 

なお、第Ⅰ相臨床試験において、健常成人男性3例(平均年齢29±7.1歳)を対象として、99mTc-tetrofosmin投与前並びに投与24時間後に、医師による診察、一般血液学検査、血液生化学検査、尿検査を行った結果、99mTc-tetrofosminに起因すると考えられる有意な検査値の変動は認められませんでした3)

【参考文献】
1) マイオビュー注シリンジ 添付文書(第2版), 2023改訂
2) マイオビュー「注射用」 添付文書(第2版), 2023改訂
3) 久保 敦司 他 : 核医学 29:1165-1176, 1992
Q.後期像を追加することの臨床的意義について情報はありますか?
F150667
A.

99mTc標識心筋血流製剤の心筋分布は、撮像時期により変化しないことが特徴とされてきましたが、撮像時期により変化する症例の報告があります。その変化は心筋細胞の何らかの機能を反映している可能性が示唆されています。急性心筋梗塞・完全左脚ブロック・肥大型心筋症における逆再分布現象は、心筋細胞膜・ミトコンドリア膜の機能との関連が推定されています1-6)。また、急性心筋梗塞では、再灌流療法後にみられる逆再分布現象は、サルベージされた梗塞心筋を反映することが示唆されています5,6)。ただし、再灌流療法後早期では、梗塞心筋のサルベージ効果を過小評価するため7日後(~20日後)に検査を行うべきとの報告7)もあります。

【参考文献】
1) 杉原 洋樹 : 心臓核医学の21世紀への展開 p.87-91, 1999
2) Yasuchika T 他 : J Nucl Med 37:1289-1294, 1996
3) Sugihara H 他 : Ann Nucl Med 13:43-47, 1999
4) Sugihara H 他 : Ann Nucl Med 12:281-286, 1998
5) 杉原 洋樹 他 : 心臓 29:40-44, 1997
6) Sugihara H 他 : Ann Nucl Med 12:287-292, 1998
7) Tanaka R 他 : J Nucl Med 42:1351-1358, 2001
Q.心筋血流シンチグラフィで負荷時より安静時に血流低下がみられた症例について情報はありますか?
F154636
A.

疾患要因では、薬剤負荷99mTc-tetrofosminシンチグラフィにおいて、冠動脈拡張症1)、不安定狭心症2)、全身性エリテマトーデス3)、心サルコイドーシス3,4)などで冠動脈狭窄がなく微小循環障害のある場合、安静時で血流低下がより高度になるという報告があります。その機序として、負荷薬剤は比較的細い血管を拡張するため、太い冠動脈に狭窄がなく細い血管に心筋虚血が生じている場合は、薬剤負荷により虚血が改善する可能性があると考えられています4)

また、運動負荷99mTc-tetrofosminシンチグラフィでも同様の所見を呈する報告があり、冠動脈に狭窄のない症例に多いことが確認されていますが、機序はよくわかっていません5,6)
他には、胃の部分切除術を受けた患者で、安静時(201Tl)には下壁欠損を示したが、負荷時では99mTc-tetrofosminの胃への逆流により同部位に集積があるかのようにみえた報告7)もあります。

 

技術的要因として、安静検査時のみに、注射漏れ等による投与量の不足、体動、吸収、心外集積等によるアーチファクト8,9)、通気針の未使用による標識不良10)等の可能性がないかご確認ください。

【参考文献】
1) 伊藤 一貴 他 : 核医学 42:79-85, 2005
2) Antonopoulos A 他 : Cardiol Rev 12:131-133, 2004
3) 皿井 正義 他 : 心臓 30(Suppl3):19-22, 1998
4) 仙田 宏平 他 : 改訂 核医学Q&A 基礎から臨床まで p.310-313, 2006
5) Smith EJ 他 : Int J Cardiovasc Imaging 20:321-326, 2004
6) Fragasso G 他 : Int J Cardiovasc Imaging 18:31-40, 2002
7) Shih WJ 他 : Clin Nucl Med 6:543-546, 2001
8) 利波 紀久 他 : 核医学画像診断ハンドブック -良い読影と効果的な利用のために- p.74-75, 2003
9) 西村 重敬 他 : 心臓核医学コンプリートマニュアル p.98-99, 104-107, 114-115, 2004
10) マイオビュー「注射用」 添付文書(第1版), 2022改訂
Q.心臓・肝臓・胆嚢以外の部位に集積した症例について文献報告はありますか?
F054610
A.

以下の文献報告があります。

集積部位

原因・疾患

乳房

乳癌1-4,6,9)、良性の乳房疾患(線維腺腫1,5)、線維嚢胞症1,5)、乳腺炎1,6))、乳汁中への生理的集積 7,8)

リンパ節

リンパ節転移1,2,9)、サルコイドーシス10) 、非特異的なリンパ節への取込み : 血管外漏出によるリンパへの流入1,11)

肺・縦隔

肺癌1,12,13)、肺転移1,14)、良性肺疾患(肺炎1,12,13)、結核1,12,13,15)、閉鎖性細気管支炎1,12))、喫煙者16)、縦隔腫瘍17)、心膜炎 18)、胸腺腫19)、悪性胸膜中皮腫1,20)

甲状腺

甲状腺癌(分化型甲状腺癌1,21)、甲状腺髄様癌1,22))、良性の甲状腺疾患(甲状腺腫1,23,24)、甲状腺炎1,24,25))、標識不良44)

副甲状腺

副甲状腺機能亢進症1,26,27)

骨・軟部腫瘍1,28)、骨転移1,29)

骨髄

多発性骨髄腫30,31)、貧血・低酸素による骨髄拡張32)、急性白血病 33)

脳腫瘍1,34)(原発性、転移性35))

頭頸部(甲状腺・
副甲状腺以外)

下咽頭癌1,36)、上顎癌1,36)、鼻咽頭癌37)

食道・胃・十二指腸

食道癌1,36,38)、食道裂孔ヘルニア39,40) 、胃食道逆流症(食道炎)41)、胃十二指腸逆流42,43)

その他

褐色脂肪組織44)、神経線維腫45)

【参考文献】
1) Atasever T 他 : Sem Nucl Med 28:196-197, 1998
2) Mansi L 他 : Eur J Nucl Med 23:932-939, 1996
3) Mansi L 他 : Q J Nucl Med 41:239-250, 1997
4) 足立 至 他 :核医学 33:531-536, 1996
5) Lind P 他 : Nuklearmedizin 35:225-229, 1996
6) Adalet I 他 : Eur J Nucl Med 22:742, 1995
7) Thet-Thet-Lwin 他 : Ann Nucl Med 14:315-318, 2000
8) Yamamoto Y 他 : Clin Nucl Med 26:76-77, 2001
9) Spanu A 他 : Eur J Nucl Med 28:1781-1794, 2001
10) Tschabitscher D 他 : J Nucl Med 38:1786-1787, 1997
11) Bestetti A 他 : Clin Nucl Med 21:486-487, 1996
12) Atasever T 他 : Nucl Med Commun 17:577-582, 1996
13) Kim SM 他 : Clin Nucl Med 26:913-915, 2001
14) Spanu A 他 : Radiol Med 107:113-127, 2004
15) Degirmenci B 他 : J Nucl Med 39:2116-2120, 1998
16) Tsou SS 他 : Cardiology 97:99-103, 2002
17) Ishibashi M 他 : Br J Radiol 69:1134-1138, 1996
18) Yutaka K 他 : Ann Nucl Med 19:239-241, 2005
19) Hashimoto T 他 : Radiat Med 19:169-172, 2001
20) Kaya H 他 : Eur J Nucl Med 23:1214, 1996
21) Gallowitsch HJ 他 : Nuklearmedizin 35:230-235, 1996
22) Nemec J 他 : Nucl Med Commun 16:694-697, 1995
23) Klain M 他 : Eur J Nucl Med 23:1568-1574, 1996
24) Erdem S 他 : Clin Nucl Med 22:76-79, 1997
25) Hiromatsu Y 他 : Eur J Nucl Med 25:1448-1452, 1998
26) Ishibashi M 他 : J Nucl Med 38:706-711, 1997
27) Hiromatsu Y 他 : Intern Med 39:101-106, 2000
28) Yapar Z 他 : Nucl Med Commun 23:991-1000, 2002
29) 大塚 信昭 他 : 日本画像医学雑誌18:139-143, 1999
30) Kaminaga T 他 : Clin Nucl Med 27:305-306, 2002
31) Hadase M 他 : Clin Nucl Med 28:230-231, 2003
32) Shin WJ 他 : Clin Nucl Med 27:846-848, 2002
33) Sukan A 他 : Nucl Med Commun 25:777-785, 2004
34) Soricelli A 他 : J Nucl Med 39:802-806, 1998
35) Schillaci O 他 : Clin Nucl Med 22:46-47, 1997
36) Arbab AS 他 : Ann Nucl Med 10:271-274, 1996
37) Shen YY 他 : Clin Nucl Med 23:305-308, 1998
38) Sun SS 他 : Anticancer Res 20:3641-3646, 2000
39) Zoghbi GJ 他 : J Nucl Cardiol 10:712-713, 2003
40) Ortin J 他 : Clin Nucl Med 31:581-583, 2006
41) Hsu CH 他 : Hepatogastroenterology 50:107-109, 2003
42) Middleton GW 他 : Nucl Med Commun 17:114-118, 1996
43) Donovan P 他 : J Nucl Med Technol 29:193-196, 2001
44) Fukuchi K 他 : J Nucl Med 44:1582-1585, 2003
45) 板垣 麗子 他 : 日本医学放射線学会雑誌 59:265-267,1999