ダットスキャン静注 症例集2

薬剤性パーキンソニズムとPD/DLBの鑑別が必要であった症例

症例提供 : 釧路赤十字病院精神科 百町 健吾先生、姫野 大作先生、早坂 郁先生

70歳代前半 男性

主  訴

姿勢反射障害により歩行困難、仮面用顔貌、流涎

現 病 歴

X-6年 : 双極性感情障害の診断により当科入院。炭酸リチウム、抗精神病薬を内服開始、以降継続。

 

X年3月 : 手指振戦、寡動を認めた。薬剤性パーキンソニズムが疑われ、クエチアピンからアリピプラゾールへ変更された。
この時、数カ月前から目立ち始めたもの忘れについても訪問看護師から指摘される。

 

X年4月 : 自宅で食事、水分摂取もできない状態となり、心配した家族に連れられて当科を緊急受診。
上記主訴の他、気分高揚、手指振戦、寡動、小刻み歩行が認められた。
脱水による炭酸リチウム中毒やレビー小体型認知症(DLB)、パーキンソン病(PD)の発病、薬剤性パーキンソニズムの鑑別目的に血液検査、DaTSCANを施行した。

治療・経過

血液検査では炭酸リチウム血中濃度は従来通り正常範囲であった。
DaTSCANの結果から薬剤性パーキンソニズムと診断し、アリピプラゾールを漸減中止した。
中止後4カ月の時点では症状の再燃は認められない。

MRI(X年4月)
T1WI

T1WI画像

T2WI

T2WI画像

 

年齢相応のラクナ梗塞が見られる程度で、特に異常は認められなかった。

IMP-脳血流SPECT(X年4月)
Original画像

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3D-SSP(Decrease)

3D-SSP(Decrease)画像

 

後頭葉に軽度の血流低下が認められたため、DLBの可能性も考慮したが、症例背景から、この時点ではprobable DLBと診断するには至らなかった。

DaTSCAN(X年4月)
Original画像

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DaTView結果画像

DaTView 結果画像

 

両側線条体ともに集積は保たれており、正常と判断された。

まとめ

当初から薬剤性パーキンソニズムの可能性はあったが、PDやDLBの発症も疑われた。
抗精神病薬を漸減している間も症状は続き、補助診断としてDaTSCANを行った。
結果からDLB、PDを否定、薬剤性パーキンソニズムの可能性が高いと判断し、治療方針を変更せず、症状の改善をみた。
DaTSCANにより薬剤性パーキンソニズムとDLB、PDの鑑別が迅速にできた症例である。


*本資料にはMIBG効能外の内容を含みますが、使用を推奨するものではありません。