認知症 脳血流SPECT読影のポイント
  • ● 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
  • ● 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • ● 3D-SSP/Z-Graphによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
  • ● 本コンテンツで使用している画像の提供元:兵庫県立姫路循環器病センター

 

このページ内のコンテンツは症例提供いただいた近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門 教授 石井一成先生による音声と動画の解説がございます。本ページ内の「音声再生」をクリックすると音声が、画像内の「」をクリックすると動画が再生されます。

画像読影の実際 アルツハイマー型認知症(AD) 非典型SPECT画像所見例

80歳台前半 女性 MMSE 20点

提示症例について 音声再生

症例の背景

主     訴
物忘れ
既  往  歴
著見なし
現  病  歴
4年前から「近所の人に家のお金をとられた」などの物盗られ妄想が出現。性格変化もみられ長男に「離婚して家に帰って親の面倒みろ」などと主張するようになった。同じ話を繰りかえすようになった。入院している夫の部屋が病棟のどこにあるのか理解できないなどの様子が観察された。加熱調理器具のガスを出したまま放置していることがある。銀行のATMの使い方を説明されても、説明されたという事実を憶えていない。日付があやふやで、数分前のことを覚えていない。
神経学的所見
脳神経系・運動系・感覚系に異常なし。筋固縮・寡動・振戦・姿勢反射障害はいずれも認めず、病的反射なし。
MRI

このコンテンツを見るためにはJavaScriptを有効にしてください。Please enable JavaScript to watch this content.

 

AD疑い例の読影のポイント
海馬、海馬傍回、頭頂連合野、側頭連合野の萎縮、側脳室の拡大や脳溝の拡大を確認します。

 

読影所見 (萎縮部位:赤丸)
右やや優位に両側海馬・海馬傍回の萎縮がみられたが、頭頂連合野など他の大脳皮質の萎縮はほとんどみられない。
123I-IMP SPECT画像(横断像)

このコンテンツを見るためにはJavaScriptを有効にしてください。Please enable JavaScript to watch this content.

 

AD疑い例の読影のポイント頭頂連合野、側頭連合野、後部帯状回、楔前部の血流低下の有無を確認します。進行例ではさらに前頭連合野に低下を認めます。線条体・視床、一次感覚運動野、後頭葉、脳幹、小脳は保持されます。ただし高齢の場合、ADでも後頭葉に軽度低下を認める場合もあります。

 

読影所見 (低下部位 :   保持部位 : 青丸)
ADに典型的な血流低下パターンは指摘しにくいが、一次感覚運動野を挟んで両側頭頂連合野、前頭連合野の血流低下がわずかにみられた。横断像では後部帯状回・楔前部の低下の判定は困難である。

3D-SSP/Z-score画像

このコンテンツを見るためにはJavaScriptを有効にしてください。Please enable JavaScript to watch this content.

 

3D-SSP/Z-score画像評価のポイント
血流分布画像上の低下部位とZ-score画像の低下部位が一致している事を確認し、血流低下パターンに疾患特異性があるか確認します。

 

読影所見 (低下部位:赤丸、赤矢印  保持部位 : 青丸)
横断像でみられた一次感覚運動野を挟んだ頭頂連合野と前頭連合野の低下所見は脳表血流画像でもみられた。一方、 Z-score画像では右頭頂連合野の血流がわずかに低下し、右後部帯状回の低下が目立つ。

Z-Graph 解析結果

このコンテンツを見るためにはJavaScriptを有効にしてください。Please enable JavaScript to watch this content.

 

後部帯状回に設定した関心領域では設定された閾値を超えた血流低下が右優位にみられた。なお右頭頂葉にも軽度の低下がみられたが、関心領域の一部にとどまっているため、関心領域として設定された閾値は超えるに至っていない。

読影(診断)結果についての解説

このコンテンツを見るためにはJavaScriptを有効にしてください。Please enable JavaScript to watch this content.

 

MRIで海馬の萎縮は認めたが頭頂葉の萎縮は無く、ADとしては典型的な画像所見は呈していない。脳血流SPECTでは軽度であるが頭頂葉に血流低下をみとめ、後部帯状回の低下もみられた。典型的ではないがADを示唆する画像所見と考えた。