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「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
3D-SSPおよびZ-Graphによる画像解析は核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON*を使用することで実施可能です。(*認証番号:301ADBZX00045000)
本コンテンツで使用している画像提供元:川崎医科大学

 

このページ内のコンテンツは症例提供いただいた川崎医科大学 認知症学 主任教授 和田健二先生による音声と動画の解説がございます。
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混合型認知症 (アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症)

川崎医科大学 認知症学 主任教授 和田 健二先生より  音声再生

  • 診断病名 混合型認知症(アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症)
  • 年齢 70歳台
  • 性別 女性
症例の背景    音声再生

主訴:もの忘れ、幻視

既往歴:高血圧、2型糖尿病

現病歴

X-2年 他界した夫が生きて自宅にいるような振る舞いが時々あった。

X年1月 同じ話を何度も繰り返したり、約束を忘れたりすることが増えた。

X年7月 内服薬の自己管理が困難となり、血糖値が上昇傾向となった。自宅に女の子が遊んでいるという幻視体験が繰り返されるようになった。娘を親戚の人と誤認するような言動となり、家族は困惑した。

画像検査以外の検査結果
MMSE 14点(見当識 3/10、注意・計算0/5、遅延再生1/3、口頭指示2/3、立方体模写0/1)時計描画は不良。パーキンソニズム、悪夢、夜間の寝言は認めない。

 

画像検査 MRI(FLAIR/T1強調画像) 「▷」をクリックすると動画が再生されます。

 

 

大脳深部白質の慢性虚血性変化はごく軽度で、海馬を含めた側頭葉内側の萎縮を認めた。
VSRAD(Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimerʻs Disease)注)を用いた画像統計解析では、海馬傍回の萎縮を示すZ-scoreは1.94であった。

注) 本資材中のVSRAD表記はVSRAD文献発表時の表記を使用しております。現在は医療機器承認を受け名称表記が変更されています。
画像検査 123I-IMP脳血流SPECT 「▷」をクリックすると動画が再生されます。

 

断層画像では、両側頭頂葉と側頭葉の著明な血流低下と右後頭葉の血流低下を認めた。

画像検査 123I-IMP脳血流SPECT 3D-SSP/Z-Graph 「▷」をクリックすると動画が再生されます。

 

 

脳表血流画像とZ-score画像では、前述の部位とともに後方帯状回や楔前部の血流低下が明瞭に示された。
アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症を想定したROI設定画像では、頭頂葉、楔前部、後方帯状回に加え、後頭葉外側と内側の血流低下も示されている。

まとめ:診断のポイント音声再生
見当識、記銘力、遂行機能、視空間認知機能の認知機能障害が認められた。パーキンソニズムなどの運動症状は目立たず、健忘症状が目立つことからアルツハイマー型認知症の可能性が考えられた。
病歴聴取を進めると、実体的意識性や幻視体験のほか、人物誤認やそれによる妄想症状が存在していた。
このことからレビー小体型認知症も混在する病態であると、初診時に想定された。 

 

MRI検査では、大脳白質の慢性虚血性病変はごく軽度であり、血管性認知症は否定的であった。
海馬を含む内側側頭葉にアクセントのある脳萎縮を認め、アルツハイマー型認知症に合致した所見であった。

 

脳血流SPECTの3D-SSPを用いた画像統計解析では、アルツハイマー型認知症に関連する頭頂葉、後方帯状回および楔前部の血流低下を認めた。
それとともに典型的なアルツハイマー型認知症では保たれている後頭葉の血流低下も検出され、臨床症状とあわせてレビー小体型認知症も併存している病態と診断した。

 

まとめ:治療と日常生活を過ごすための指導音声再生
レビー小体型認知症は、せん妄状態になりやすかったり、抗精神病薬への過敏性を伴う例もあったりするため、アルツハイマー型認知症と比べ病状が不安定になりやすい傾向がある。
ご家族へは、症状の変動がある点を強調し、最も悪い時をケア基準に対応すること、誤認や混乱が激しいときはしばらく距離を置くことなどの介護の心がけを説明した。

 

薬剤の新規投与や変更があった際には副作用が発現しやすく、変更があった場合には主治医に申し出ることや、経過により発現が予想される便秘、立ち眩みなどの自律神経症状やパーキンソニズムなどの運動障害についてなど、長期的な経過やそれぞれの症状に対するケアや治療があることを説明した。

 

日中過眠や夜間不眠にならないように覚醒睡眠リズムを維持するような生活を心掛けるためにデイサービス利用を勧め、薬物介入としてまずはコリンエステラーゼ阻害薬を開始した。