主な核医学検査_消化器

肝受容体シンチグラフィ

使用される放射性医薬品

99mTc-GSA【商品名:アシアロシンチ®

検査の原理

哺乳類の肝細胞にはアシアロ糖タンパクと特異的に結合する受容体が存在します。この受容体の量や機能は肝機能と相関するため、テクネチウム(99mTc)で標識したアシアロ糖タンパクを投与し、肝細胞に取り込ませることで、肝障害の程度(肝予備能)を評価できます。

  

検査の流れ、注意事項
特に前処置等の注意はありません。仰臥位で寝た患者さんの前面から胸腹部に検出器を合わせて99mTc-GSAを静注し、投与直後から20分間程度の動態(連続)撮像をします。その後に、数方向からの平面像またはSPECT収集をして断層像を作成します。
解析方法、定量法

静注直後からの動態撮像データから、心臓(H)および肝臓(L)に関心領域を設定し、3分および15分の測定値から以下の指標を計算することにより肝予備能を評価します。
HH15(クリアランス)=H15/H3   LHL15=L15/(H15+L15)
SPECT像からは機能的肝容積を求めることができ、肝動脈塞栓術(TAE)や肝切除手術における術式(範囲)の決定や、術前後の予備能の評価にも用いられます。

 

関心領域の設定図 心臓ならびに肝臓における時間・放射能曲線

臨床的意義
  • 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変などの重症度評価に有用です。
  • 肝腫瘍、肝内胆肝癌、肝移植などに伴う局所肝機能評価などに有用です。

 

慢性肝疾患例における肝機能障害重症度分類の、軽症、中等症及び重症例における本剤投与後5分及び30分における胸腹部前面像