主な核医学検査_甲状腺

甲状腺シンチグラフィ/甲状腺摂取率検査

使用される放射性医薬品

Na123I(ヨウ化ナトリウム)【商品名:ヨードカプセル-123
99mTcO4-(過テクネチウム酸ナトリウム) 【商品名:テクネシンチ®-10Mメジテック®

検査の原理

甲状腺は血液中からヨードを取り込んで有機化し、甲状腺ホルモンを合成しています。したがって、放射性ヨードを用いることにより、機能画像である甲状腺シンチグラムを得ることが可能です。更に投与量に対する甲状腺への集積量の割合(甲状腺摂取率)を求めることにより、甲状腺のヨード代謝を定量的に把握することができます。
一方、99mTcO4- はヨード代謝を反映はしませんが、同じく甲状腺に捕獲され、通常の食物由来のヨードでは摂取率が影響を受けないこと、1日の通院で検査が終了することからNa123Iの代わりに用いられることもあります。

検査の流れ、注意事項

Na123I:検査前に1週間以上のヨード摂取制限が不可欠の前処置となります(X線造影剤を投与された場合は4週間以上必要)。カプセルを飲んだ後、3時間後(または6時間後)および24時間後に5~10分程度の撮像をし、甲状腺の形態画像と摂取率を測定します。負荷検査がある場合には、さらに1時間後にも測定することがあります。
99mTcO4-:特に前処置等の注意はありません。静注投与の30分後に仰臥位にて5~10分程度の撮像をして、甲状腺の形態画像と摂取率を測定します。

解析方法、定量法

摂取率を測定することによりイオン捕獲能およびホルモン合成能を知り(99mTcO4- では前者のみ)、甲状腺機能を評価します。検査前に投与量を測定しておき、患者さんの甲状腺摂取量との比によって摂取率が計算できます。

臨床的意義
  • 甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症の診断に用いられます。
  • 甲状腺腫の鑑別診断、甲状腺癌転移の検出に有用です。
  • 破壊性甲状腺炎(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎)の鑑別診断に有用です。
  • 異所性甲状腺の診断や、甲状腺重量の推定に用いられます。