核医学検査のご案内_基礎編Q&A

基礎編Q&A

放射性医薬品とは

answer 放射性医薬品とは、放射性医薬品製造規則にある放射性同位元素を含む医薬品で、日本薬局方または放射性医薬品基準によって規定されているものをいいます。ラジオアイソトープ(放射性同位元素)を含む医薬品で、それらのラジオアイソトープが放出する放射線を利用して、病気の診断や治療を行います。

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シンチグラフィとは

answer 患者さんに放射性医薬品を投与し、体外から放射性医薬品の分布を検出して画像化する検査方法をシンチグラフィ(シンチ)といいます。シンチグラフィで得られる画像をシンチグラムといいます。 シンチグラフィは検査目的により、臓器の位置・形態・大きさ、病巣の有無・局在・性状などの情報が得られる静態シンチグラフィ、経時的な撮像で血流や臓器の機能などの情報が得られる動態シンチグラフィ、全身の病巣を検索する全身シンチグラフィ、断層撮影により3次元的情報が得られるSPECTなどに大別されます。

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ラジオアイソトープ(放射性同位元素)とは

answer アイソトープ(同位体)の中で、構造が不安定なため、時間とともにガンマ線などの放射線を出しながら崩壊していく核種のことをラジオアイソトープ(放射性同位元素)といいます。放射性核種、RI(アールアイ)とも呼ばれます。

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ガンマ線とは

answer ガンマ線は、原子核内から発生する波長の短い電磁波です。ガンマ線の生物学的効果はエックス線と類似しているといわれています。核医学検査では、体内の情報を体外にもたらしてくれるよう、透過力の強いガンマ線を放出する核種が多く利用されています。

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ガンマカメラとは

Aアイコン 核医学検査に用いられる放射性同位元素には、1方向の放射線を放出する放射性同位元素(single photon emitter)と、2方向の放射線を同時に正反対の方向に放出する放射性同位元素(positron emitter)があります。 このうち、体内に投与されたsingle photon emitterから放出される放射線(ガンマ線)の分布と時間経過を画像化するために用いられる装置をガンマカメラ(又はシンチレーションカメラ)といいます。

 

<ガンマカメラの構造>
体内に投与された放射性医薬品から放出されたガンマ線はコリメータと呼ばれる多数の穴が開いた鉛(又はタングステン)板を通り、シンチレータにあたり、発光(シンチレーション光)します。シンチレータの後には数十本からなる光電子増倍管が並んでおり、シンチレーション光(光信号)はここで増強されます。増強された光信号は、位置等計算され、画像化(ディスプレイ表示又はフィルム印刷)されます。

ガンマカメラの構造

各構成部品の特徴等は以下のとおりです。

●コリメータ
鉛又はタングステンから構成される板に特定のphotonのみが通過できるように多数の穴が開いています。穴の開き方、配置等により、複数のタイプが存在し、一般的なものは穴が平行に配置されているパラレルホールコリメータと呼ばれるものです(上図)。

●シンチレータ
放射性核種から放出されたガンマ線を光信号に変換するために用いられるものです。シンチレータに入射したphotonはシンチレータと相互作用し、エネルギーの一部を閃光(シンチレーション光)として放出します。材質は通常、NaIに微量のTlを混ぜたNaI(Tl)を用います。ただし、NaIは急激な温度変化(1時間に3℃以上)や湿度に弱いため、取扱いに注意が必要です。

●光電子増倍管
真空管の一種で、シンチレータからの光信号を増幅します。増幅過程では感度の均一性が重要であり補正回路を付けたり、四角形や六角形の光電子増倍管を使用して管間の隙間を減らすように工夫されています。

 

<ガンマカメラ撮像上の注意点>

■線源とコリメータとの距離が離れるほど、空間分解能ならびに感度も劣化します。
下図のようにコリメータ面から遠い線源から放出されるガンマ線はコリメータの隣の穴も通過し、シンチレータ面の広い範囲に入射することになります。これを避けるため検査時にはガンマカメラをできるだけ患者さんに接近させる必要があります。

■コリメータは、その厚さ及び隔壁厚により空間分解能や感度が変化するため、使用する放射性核種の種類や検査目的に応じて適切に選択する必要があります。

 

ガンマカメラ撮像上の注意点 図

 

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Sv(シーベルト)とは

Aアイコン 放射線による人体への影響の度合いを表す単位。
その1/1000であるmSv(ミリシーベルト)が一般的に用いられています。

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SPECTとは

Aアイコン 「Single Photon Emission Computed Tomography」の各頭文字を取って「SPECT」(スペクト)といいます。日本語では「単一光子放射断層撮影」となりますが、一般的に「スペクト」と呼ばれています。

 

画像診断法の一種で、体内に投与した放射性医薬品から放出されるガンマ線をガンマカメラ(「ガンマカメラとは?」を参照)で検出し、その分布を断層画像にしたものです。脳血管障害、心臓病、癌の早期発見に有効とされています。

 

SPECTで用いられる放射性核種には以下のような特徴があります。

  • (1)出てくる放射線のほとんどがガンマ線または示性エックス線(光子=電磁波)で、ベータ線(粒子)は出してもわずかである。
  • (2)光子のエネルギーが適当な値である。
  • (3)半減期が適当な長さである。
  • (4)容易に製造が出来る。
  • (5)いろいろな化合物への標識が容易である。
     (例)テクネチウム-99m、ヨウ素-123等

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PETとは

Aアイコン 「Positron Emission Tomography」の各頭文字を取って「PET」(ペット)といいます。PET検査は感度、定量性の点でSPECT検査より優れていることから近年、使用頻度が高まっています。ただし、PET検査に用いられる放射性核種(フッ素-18、酸素-15等)がSPECT検査に用いられる放射性核種と性質が異なるため、一般的なガンマカメラは使用できず、PET専用の撮像装置が必要です。

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関心領域(ROI)とは

Aアイコン 一部の核医学検査では、画像上で、測定したい臓器や部位を取り囲むように線を引き、その領域のカウントを計測したり、カウントの時間変化を時間放射能曲線として表示したりします。この領域を関心領域(ROI、「ロイ」)といいます。

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検定日(時)とは

Aアイコン 検定日(時):製品に表示された放射能を有すべき日(時)。

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半減期とは
Aアイコン 壊変により放射性核種の量(放出される放射線量)が半分になるまでの時間を物理的半減期といいます。核医学で用いる放射性核種は物理的半減期が10数秒から数日と比較的短いものを用いています。体内に投与された放射性医薬品は生物的半減期(生物学的過程でその半分が体外へ排泄されるまでの時間)によっても減少します。生体内に実際に存在する放射性核種の量が半分になるまでの時間を有効半減期といいます。
1/有効半減期=1/物理的半減期+1/生物的半減期

 

半減期とはの図

 

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Bq(ベクレル)とは

Aアイコン 放射能の単位(SI単位)。原子核が放射線を出して他の種類の原子核に変わる現象を壊変といい、1Bq(ベクレル)は毎秒1個の壊変を表します。Bqの他には古くから使われてきたCi(キュリー)という単位があり、1Ci=37×109Bqです。

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シリンジ製剤とバイアル製剤の違いについて
Aアイコン シリンジ製剤は放射性医薬品を封入したシリンジをタングステン合金シールド内に装着した状態でお届けいたしますのでシリンジに抜き取る必要が無く、プランジャーと専用針を取り付けるだけで投与できます。バイアル製剤は、バイアル中の放射性医薬品をディスポシリンジに抜き取り、使用するので、投与量の調節や分割が容易です。

 

塩化タリウム注NMP

 

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サイクロトロン製剤とは
Aアイコン 核医学に使用される放射性同位元素の多くは、荷電粒子を利用した原子核反応によりサイクロトロンによって産生されます。サイクロトロン製剤とは、そうして産生された核種を持つ製剤で、弊社では67Ga1、201Tl、111In、123I、81Rb-81mKr、18F等の放射性同位元素を用いた製剤があります。

 

サイクロトロン

 

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99mTc製剤とは

Aアイコン 99mTcは99Moの壊変により生成され、半減期が約6時間と短く、ガンマ線のみを放出するため、被曝が少ない核種です。また、99mTc はシンチグラフィの撮像に適したエネルギーを有するガンマ線を放出するという利点があります。99mTc は99Mo-99mTcジェネレータから99mTcO4-の化学形で溶出されます。弊社では99mTcO4-で標識された製剤に99mTc-スズコロイド、99mTc-DMSA、99mTc-MAA、99mTc-PMT、99mTc-HSAD、99mTc-GSA、99mTc-Tetrofosminなどがあります。またキット製剤の標識には99mTcO4-が用いられます。
(標識核種をわかりやすくするために製剤名を略名で表記しました)

 

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ジェネレータ製剤とは
Aアイコン (放射平衡にある)比較的半減期の長い親核種から生成した短半減期の娘核種を必要に応じて分離して使用する製剤です。弊社には99Mo-99mTcジェネレータおよび81Rb-81mKrジェネレータの2種類の製剤があります。

 

クリプトンジェネレーターとメジテックの写真

 

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放射性医薬品の投与量や包装単位が体積(mL)や質量(mg)でなく放射能量(Bq)で設定・表記されている理由

Aアイコン 放射性医薬品を用いる核医学診断は放出されるガンマ線により画像を得ます。部位を画像化するには、放射能が必要です。必要とする放射能量(Bq)は各検査ごとに異なるので、投与量は放射能量(Bq)で設定・表記されています。

 

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どの包装単位を選べばよいか

Aアイコン 放射性医薬品は製剤により用法及び用量が定められているので、それを参考に患者さんの年齢、体重等を考慮して投与量を決定します。

 

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放射性医薬品の使用に関する法的規制はありますか

Aアイコン 放射性医薬品の使用は医療法施行規則に規定され、その使用に際しては診療用放射性同位元素の使用届を知事あてに届け出る必要があります。

 

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放射性医薬品の薬価を教えてください

Aアイコン 弊社の医薬品の薬価につきましては「製品一覧」をご覧ください。

 

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放射性医薬品の価格を教えてください

Aアイコン 弊社は製造販売業者です。価格に関しては(社)日本アイソトープ協会にお問い合わせください。

 

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