安定冠動脈疾患における虚血評価を再考する

CTA施行後のFFRの役割

香坂 ISCHEMIA試験は心筋シンチファーストで行われた試験でしたので、FFRは補助的な役割にすぎませんでした。今後は、CTAファーストを前提とした場合のFFRの位置づけがクローズアップされていくと思われますが、この点についていかがでしょうか?

永井 2014年に発表されたCVIT-DEFERレジストリーの研究結果によりますと、狭窄の程度が同じであっても、冠動脈の枝によってFFR陽性を示す割合が異なるということが報告されています。実際の臨床現場においても、例えば90%の狭窄を明らかに認めていながらも、FFRが陰性と出てしまうような場合には、血行再建を行うべきかどうか悩まれる医師が多いのではないかと思います。CTAファーストでFFRが用いられる試験では、このような枝によるバイアスのことも留意しつつ解釈すべきだと思います。

中田 私は、明らかな有意狭窄を認め、シンチで虚血が証明されていればFFRを行う必要性は全くないと思います。しかし、シンチの結果が曖昧で、高度な狭窄が認められるような場合には、FFRが最後のディシジョンメーキングの一押しになると思います。ただし、FFRでは手技的に安定しなかったり、アデノシンが十分に効かなかったりする患者も存在しますので、個人差があることには留意が必要です。また、FFRの原理的な欠点として、微小循環障害や末梢のバイアビリティについては反映しないため、臨床的アウトカムとして虚血を十分に改善するだけの責任病変かどうかについては、プレッシャーワイヤーとは異なる観点による虚血評価が必要な点も知っておくべきだと思います。

香坂 中田先生、永田先生、多岐にわたるご示唆を頂きありがとうございました。