認知症疾患医療センターの役割と脳SPECT検査の活用事例
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が 同様な結果を示すわけではありません。
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本コンテンツで使用している画像提供元:兵庫県立リハビリテーション西播磨病院

このページ内のコンテンツは症例提供いただいた兵庫県立リハビリテーション西播磨病院脳神経内科医長・認知症疾患医療センター センター長 高橋竜一先生による音声と動画の解説がございます。 本ページ内の「音声再生」をクリックすると音声 が、 画像内の「」をクリックすると動画 が再生されます。



兵庫県立リハビリテーション西播磨病院脳神経内科医長・認知症疾患医療センター センター長 高橋 竜一先生より  音声再生


脳SPECT検査の活用事例
進行性の認知障害(近時記憶障害)とパーキンソニズムを認めたレビー小体型認知症

  • レビー小体型認知症(DLB)
  • 年齢 60歳台前半
  • 性別 男性

提示症例について 音声再生

症例の背景

受診の経緯
もの忘れの進行で認知症精査のため近医からの紹介受診。
既  往  歴
多発性軟骨炎(膠原病)で神経内科通院中。嗅覚障害があり、うつ病によるものと診断されスルピリドが 投与されていたが現在は服用中止。
現  病  歴
2か月前からA大学病院へ通院した事実を忘れる。亡父のことを元気か?と妻に聞く。飲酒習慣あるが、症状が 進行したこの10日は飲酒を忘れている。前日の娘の訪問も憶えていない。すでに自分が定年になっていることも憶えておらず、仕事に行こうとする。ヒノキを50本倒したので義父に見て欲しいという作話が2回あった。日中ずっと動いていたが、動かなくなった。 物とられ妄想や易怒性は無い。時間の見当識障害あり。
神経症状
両上肢固縮、体幹固縮、歩行時上肢寡動あり。安静時振戦は無い。転倒は無い。
神経心理検査
記憶検査
MMSE:25/30点 ADAS:10/70点 FAB:13/18点
論理的記憶:直後再生 6/50点 30分後再生 0/50点
MRI検査

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両側海馬と頭頂葉に萎縮を認めた。

ダットスキャン®静注SPECT検査

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両側線条体への集積は低下しSBRも正常平均から3.35SD低下している。

※SBR(Specific Binding Ratio):特異的結合濃度(線条体への集積)/非特異的結合濃度(バックグラウンドへの集積)
※SBR(Specific Binding Ratio):特異的結合濃度(線条体への集積)/非特異的結合濃度(バックグラウンドへの集積)
診断
音声再生

神経心理検査ではMMSE 25点と軽度認知障害の状態。論理記憶検査では直後再生が6点に対し30分後再生は0点と近時記憶障害を中心とした認知機能障害であった。

歩行時の寡動が強く固縮も認めたが、スルピリドの服用があったため薬剤性パーキンソニズムの可能性も考えられた。

しかしダットスキャン®静注脳SPECT検査では両側線条体の集積低下が認められ、本例のパーキンソニズムは黒質線条体ドパミン神経の脱落によることが確認された。

ADと異なりDLBでは病初期に記憶障害が目立たない場合が多いが、本例では近時記憶障害が目立っていた。しかしパーキンソニズムやドパミントランスポーターの取り込み低下などからレビー小体型認知症と診断(probable DLB)した。