ダットスキャン読影のポイントヘッダ
  • 「警告・禁忌等を含む使用上の注意」等については添付文書 ご参照ください。
  • 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • DaTViewによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」を使用することで実施可能です。(※認証番号:301ADBZX00045000)
  • 本コンテンツで使用している画像の提供元(一部を除く):東邦大学医療センター大森病院
  • ダットスキャン®静注のSPECT画像における定量的指標であるSBR(Specific Binding Ratio)は使用機種、コリメータ、画像再構成法、被験者の年齢等によって異なりますので、その解釈には十分ご注意ください。

ダットスキャン画像作成のポイント

画像作成には、画像収集→再構成→画像表示の流れがあり、そのプロセスごとの設定が画像に影響を与える。読影に適した画像を得るにはそれぞれのプロセスが、画像にどのような影響を与えるのかを理解しておく必要がある。

● 画像作成のプロセスと影響因子

画像作成のプロセスと影響因子

コリメータの選択

※いずれも線条体ファントム(エヌ・エム・ピイ ビジネスサポート株式会社製)のSPECT画像を当院で収集。
「3:1」、「5:1」は線条体とBGの放射能濃度比

  • コリメータの選択は、画像の分解能と感度に影響する。
  • ダットスキャンでは、一般にバックグラウンド(BG)集積が参照部位となる。
  • 高分解能型(HR)コリメータは線条体高集積領域での分解能に優れているが、感度が低いためにBG集積や線条体集積低下を正しく評価しにくい。
    「線条体:BG比=3:1」の場合には、左右差を認める場合がある。
  • 集積の違いによる影響を最小化するために、HRではなく汎用型(GP)を選択するなど、適切なコリメータを選択する必要がある。
ELEGP(GP)

3:1

5:1

LEHR(HR)

3:1

5:1

POINT
コリメータは感度と分解能に影響。読影の目的に応じて選択

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収集時間の影響
  • 収集時間が短すぎる(10分程度)と、特に線条体集積低下例では十分なカウントが得られず、BGの集積がより不均一になる。
  • 線条体とBGの比率(SBR)への影響はほとんどみられない。
  • 正常集積では10分程度で良好な画質が得られるが、集積低下例では少なくとも20分程度は収集時間を確保する必要がある。
正常集積例、集積低下例ともにそれぞれ同一症例で検討
収集時間 正常集積例 集積低下例
10min SBRBolt = 5.80
(R 5.72, L 5.87)
SBRBolt = 3.62
(R 3.89, L 3.35)
20min SBRBolt = 5.61
(R 5.54, L 5.69)
SBRBolt = 3.51
(R 3.91, L 3.11)
30min SBRBolt = 5.59
(R 5.60, L 5.58)
SBRBolt = 3.61
(R 3.82, L 3.40)
POINT
収集時間が短いとノイズが増すため、20分程度は収集時間を確保
拡大率による画像の違い
  • BGの集積やS/Nの違いはわずかであるが、分解能に差異が見られる。
  • ただし、拡大率の違いによりSBRが変動する場合がある。
  • 装置ごとに、拡大率を統一することが望ましい。
正常集積例、集積低下例ともにそれぞれ同一症例で検討
30min 収集 正常集積例 集積低下例
×1.50 SBRBolt = 4.33
(R 4.50, L 4.17)
SBRBolt = 0.99
(R 0.66, L 1.31)
×1.33 SBRBolt = 5.64
(R 5.91, L 5.37)
SBRBolt = 1.56
(R 1.31, L 1.82)
POINT
収集時の拡大率によりSBRに影響を生じる場合があるため、装置毎に 拡大率を統一
画像の再構成(減弱補正・散乱補正)

画像の補正には、体内の臓器によるガンマ線の吸収を補正する減弱補正(AC)と、散乱によるノイズを軽減する散乱補正(SC)が用いられる。

(-)は補正なし、(+)は補正ありである。

● 画像再構成時の補正による集積分布変化

PET[11C]-PE2I*

*研究用薬剤

PETでは線条体の分解能が良いだけでなく、DAT本来の分布についても良好で、大脳皮質や中脳などの非特異的な集積も描出される。非特異的な集積も描出される画像が正確なDAT分布画像といえる。

SPECT[123I]-FP-CIT

FBP
AC(-) SC(-)

FBP
AC(+) SC(-)

FBP
AC(+) SC(+)

線条体正常集積例

線条体集積低下例

  • SPECTでは画質・定量性の向上のために減弱・散乱の画像補正が用いられることが多い。
  • DATイメージングでは、減弱補正による大脳皮質などの非特異的集積の描出に顕著な差異はない。
  • 減弱補正は深部集積の描出を良好にするが、散乱補正では非特異的集積が抑えられ、結果として過補正となる場合がある。その原因は、散乱補正では散乱線を選択的に減算しているのではなく、散乱線分布と近い集積である非特異的集積(本来の集積分布情報)まで消し去られるためである。
  • 非特異的集積は、SBRの算出など定量的な評価の際に参照部位として使用される。過剰な補正を行うとSBRの過大評価やバラツキの原因となり、定量的評価の誤差の要因となる。
POINT
補正の特徴を理解し、過剰な補正は行わない
表示スケールの選択

スケールごとに、表示画像から読みやすい情報や読みにくい情報がある。

グレースケール

グレースケール画像

線形性が高く、集積分布の把握に適す。ただし、正常と異常の境界が判別しにくい。

白黒反転グレースケール

白黒反転グレースケール画像

集積形状は把握し易いが、軽度の集積変化が判別しにくい。

GEカラー

GEカラー画像

高集積部の集積変化は読みやすいが、低集積部ではコントラストが不良である。

ホットメタル

ホットメタル画像

低集積部の集積変化は読みやすいが、高集積部ではコントラストが不良である。

レインボー

レインボー画像

階調変化による集積コントラストは良いが、各々のカラースケールの特徴に左右される。

POINT
スケールの特徴を理解し、使い慣れたスケールで表示

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表示ウインドウの調整 (0 ~ 100%)

img33.jpg

視覚的評価

  • 頭蓋内で最も高集積となる線条体を最大集積として表示()
  • 線条体集積低下例では、集積が高い線条体を最大表示とするため、表示範囲が狭まり、BGが相対的に上昇してみえる()
  • 線条体とBGとのコントラストをつけるために表示スケール下限値を上げると、線条体集積低下が把握しにくくなる。(正常集積と誤って評価:不適切な表示)()

img34.jpg

定量的評価

  • BGを基準に表示し(BG=1とする)、スケールの上限値を一定値とする
  • 正常例では通常の表示でもほぼ同じ(
  • 一方、線条体集積低下例では表示範囲を変更せず、BGを1として線条体描写を定量的な集積量として表示()
POINT
線条体集積を上限値として設定し、BG集積の高低から線条体集積を評価

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