総論 東京女子医科大学 画像診断学・核医学講座 百瀬 満

読影のポイント

ポイント7

冠動脈に一致しない集積異常を認めた場合の判定

集積が低下した所見が必ずしも梗塞や虚血を示すとは限らない。特に、典型的な冠動脈領域と異なる範囲に欠損が認められる場合には以下の疾患あるいは病態を考える必要がある。

1. 中隔基部を中心とした再分布(fill-in)

  • 1 左脚ブロック症例で、特に運動負荷検査実施で高率に出現する(図12)。薬剤負荷でも出現する場合があるが、基本的には左脚ブロック症例は、運動負荷が可能でも薬剤負荷で行うべきである。
  • 2 冠動脈バイパス術直後で前下行枝#7に強い狭窄があり、末梢はバイパスで灌流されている場合にも中隔基部のみの虚血が認められる(図13)。

図12 完全左脚ブロックの症例



図13 冠動脈バイパス術後の残存虚血

2. 前壁中隔基部の固定欠損あるいは再分布(fill-in)

心サルコイドーシスで高頻度に見られる(図14)。
*ただし、正常例でも基部の膜様部による低下が目立つことがあり、注意が必要。


図14 前壁中隔基部に負荷Tl SPECTで再分布を認めた心サルコイドーシス

3. 側壁や後下壁の固定欠損あるいは再分布(fill-in)

虚血性心疾患だけでなく、二次性心筋症・拡張相肥大型心筋症でも認められる。
*病歴などを参照して、虚血(梗塞)も否定できないが、心筋症による欠損の可能性を示唆する。

4. 特に安静像で心基部が全周性に集積低下が目立つ

心尖部肥大が強く疑われる。負荷像よりも安静像で見えることが多い。ECGで陰性T波を認めた場合は意識的にこの所見を確認すると良い(図15)。
*心基部が低下しているというよりは、心尖部の集積が強いことを示唆する。
*断層像を見ると心尖部に厚みが強調されていることが多い。



図15 心基部が全周性に低下する症例