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総論 東京女子医科大学 画像診断学・核医学講座 百瀬 満

読影のポイント

ポイント2

201TlClと99mTc標識心筋血流製剤のそれぞれの薬剤特性を知る

1. Tlの場合

  • 1 Tlの再分布現象を利用して、1回の注射(74 or 111MBq)のみで負荷像(約10分後)と再分布像(後期像:3〜4時間後)の撮像を行う。再分布像は安静像とほぼ同等の分布を示す。
  • 2 虚血部位は負荷像では集積が低下し、再分布像では正常部位と同等の集積を示す。

    ・再分布現象とは、血流が増加するのではなく虚血部位と正常部位でのTIの洗い出しの差により、見かけ上(画像表示)、虚血部位のTI集積が正常と同等の集積を示すことである。

  • 3 図2-1に5つの病態を示し、図2-2にその実際の心筋シンチの変化を示す。

    ・正常心筋では、実際のTlの心筋集積は後期像で負荷像の集積の約50%まで低下する(この場合、WORは約50%となる)。

    ・虚血心筋では、負荷像の集積は正常心筋より低下するが、後期像でTIの洗い出しが少なく、正常と同等の集積を示す(結果的にWORは50%以下に低下する)。

    ・極座標表示の血流マップとそれに対応したWORマップが作成されており、虚血の領域を認識しやすい(図3)。


図2-1 Tl 動態の経時的変化



図2-2 SPECT画像所見に基づく虚血と梗塞の診断



図3 Tl SPECTの極座標表示

2. 99mTc標識心筋血流製剤(Tc標識製剤):Tetrofosmin/MIBIの場合

  • 1 Tc標識製剤には、TetrofosminとMIBIがあるが、心筋内動態はほぼ同等である。
  • 2 Tlとは異なり再分布現象は無い。従って、負荷時と安静時に2回投与する。
  • 3 Tc標識製剤投与後の、各々心筋内の時間集積曲線を示す(図4)。
  • 4 Tc画像は、ガンマ線のエネルギーがTlより高いため(Tl:70keV / Tc:140keV)、画質が優れる(吸収の影響もTlより少ない)。
  • 5 心電図同期SPECTにおける心筋の辺縁抽出は、Tl画像より精度が高い。理由は、Tc 画像では投与量が多く、QGSの分割数も多いため(R-R間隔はTc標識製剤で16分割、Tlでは8分割が一般的)。
  • 6 読影方法とその解釈についてはTlと同様である。

図4 Tc標識製剤の心筋動態の経時的変化(負荷先行の場合)