各論 日本大学病院 循環器内科 松本 直也

症例3

安静時・負荷時ともに
固定欠損を認める心筋のviability評価

  • 60歳代の男性。高血圧症、糖尿病、脂質異常症で通院中。
  • 心不全加療目的で入院しておりLVEFは20%台。
  • 心不全の原因精査として、慢性腎臓病(CKD)があるためアデノシン負荷SPECTを施行(図19)。

どう読むか? また次に必要な検査は?

99mTc薬剤負荷時

99mTc安静時

99mTc薬剤負荷時

99mTc安静時


図19

短軸像を見ると負荷時像・安静時像共にLAD領域であるanteriorからapexにかけて固定性血流欠損を認める。septumとlateralを比較するとseptumの血流は相対的に低下している。またRCA領域であるinferiorにも固定性欠損があり、LAD・RCA領域の梗塞と思われる所見である。次に下段の垂直長軸像を見ると黄色の円で囲んだところでanteriorにfill-inが起こっていることが分かる。垂直長軸像は短軸像だけではわかりにくい前壁の読影に有効といえる。以上から2枝病変で梗塞+虚血心筋と診断された。
次に必要な検査は何か? 心筋虚血があるのですぐにCAGでも良いが、梗塞心筋と思われる部位の心筋viabilityをTlで検索した(図20)。この結果から、梗塞と思われた部位のいずれにも再分布がありviabilityが存在することが分かり、PCIを行った。半年後のフォローアップSPECTではLVEFが41%と大幅に改善し、負荷後血流欠損もなくステント再狭窄なしと診断された。


図20

心臓核医学検査による心筋viabilityの評価としては、負荷Tl再分布像、Tl・Tcの安静時像、負荷Tl24時間再分布像、安静Tl再分布像、18F-FDG PET画像などがある。本症例のように梗塞心筋と思われる部位でのviability評価としては18F-FDG PETが最も優れている可能性が高いが、実施できる施設が少なく適応にも制限がある事から、本症例は安静Tl再分布法を選択し良好な結果を得た。