冊子で学ぶ小線源療法

前立腺がん治療法あれこれ ―密封小線源治療法とは?― Q&A PART2

小線源治療(しょうせんげんちりょう)はどのようにするのですか?

A麻酔をかけ、超音波で確認しながら前立腺内に挿入します。

治療は、泌尿器科医、放射線腫瘍医(ほうしゃせんしゅようい)、麻酔科医、看護師、放射線技師などからなる医療チームにより行われます。

診断のためにはどんな検査が必要ですか?

治療は下半身麻酔または全身麻酔がかかったうえで行います。コンピュータでシード線源を入れる場所と数を計画したうえで、超音波の画像を見ながら前立腺の中へ筒状の針を刺入(しにゅう)し、その針を通してアプリケータという器具を用いてシード線源を挿入していきます。

 

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入院に関しては?

A短期間の入院で済みます。

入院期間は一般的に4日間程度です。
通常病院の個室に入院して、治療後の管理を行います。飲水や食事、院内の歩行など、通常治療の翌日から可能です。シード線源費用を含め、治療は保険適用です。個室料金は、実費となります。

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退院後は、どのような事に注意すればよいのでしょうか?

A普通の生活には弊害はありませんが、注意を要する点もあります。

シード線源からの放射線は、ほとんどが前立腺内で吸収され、体外に放出されるものは微量です。そのため周囲の方々が受ける影響は非常に低いものです。普通に日常生活を送ることが可能ですが、念のため一定期間は周囲の人に配慮する必要があるとお考えください。


線源が体内にあることを記した治療者カードは、治療後1年間所持・携帯します。他の病気で診療を受けるときに小線源治療(しょうせんげんちりょう)を受けていることを説明する際に必要です。1年以内に何らかの手術を受けるときには、その主治医から小線源治療(しょうせんげんちりょう)を実施した担当医への連絡が必要となります。

治療者カード

外来通院は経過観察をするために必要です。病状の変化を見逃さないためにも、定期的な通院が必要です。

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放射線被ばくについて教えてください

A自然界から受ける放射線被ばくより少ないです。

私たちの日常生活の中では自然に大地や空から微量の放射線被ばくを受けていることはよく知られているところです。
このヨウ素125シード線源を用いた小線源治療(しょうせんげんちりょう)を行った患者さんのご家族や周囲の人にはごく微量ですが放射線被ばくがあります。しかし、自然界の放射線被ばくより少ないものです。治療を受けた方と家族が1メートル離れた所で1回1時間の食事を1日3回、1年間毎日繰り返したとします。その時の家族の方の被ばく線量は胸のレントゲン写真を1枚撮る程度だといわれています。

シード線源はチタン製でカプセル状になっており、中に放射性ヨウ素125が密封されています。
このカプセルは永久に前立腺内に残りますが、放射線は徐々に弱まり1年後にはほとんどゼロになります。

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小線源治療(しょうせんげんちりょう)後の副作用や注意することは?

A放射線による副作用は、早期に起こるものと晩期に起こってくるものとがあります。

シード治療は重篤(じゅうとく)な合併症が少なく、治療後の生活の質が良い点などがあげられますが、治療直後から半年ないし1年間は尿が出にくかったり、尿が近くなったりなどの症状が見られることがあります。症状が強いときには内服薬で治療することがあります。
放射線の副作用は一般に治療後早期に起こってくるものと、治療後半年から3年位の間の晩期に起こってくるものとがあります。医師によく相談をしてください。

1.治療早期に起る場合
2.治療後半年から3年の晩期に起る場合