核医学の基礎知識

主な核医学検査について

脳の検査

脳の核医学検査には、脳の血液の流れを調べたり、脳内の神経回路や神経伝達の状態、糖代謝をみる検査などがあります。

正常例 疾患例(脳血管障害)

脳血流シンチグラフィ

 

正常例 疾患例(パーキンソン病)

ドパミントランスポータシンチグラフィ
ご提供:順天堂大学医学部付属 順天堂医院

 

脳の血流のわずかな変化をみつけることで、脳梗塞、てんかん、認知症などの病気を診断したり、神経伝達や糖代謝の状態を調べることで、てんかんの発作を起こす部位(焦点)を検索する際に用いられます。また、脳内ドパミン神経の変性(状態・機能の変化)や脱落(機能の消失)の程度を調べることで、パーキンソン症候群とレビー小体型認知症の診断に用いられています。

 

心臓の検査

心臓の核医学検査には、心臓の筋肉(心筋)に栄養を運ぶ血流の状態や、心筋組織のエネルギー代謝、交感神経の働きをみる検査があります。

 

負荷時 安静時 安静時QGS

心筋シンチグラフィ
ご提供:東京都済生会中央病院

 

心筋の血流や代謝の状態を断面図でみたり、心臓の動き具合を観察することにより、狭心症や心筋梗塞、心筋症などの病気の有無や、その状態を調べます。治療計画を立てたり、入院が必要かどうかを判断する際にも役に立つ検査です。
心電図と同期して撮像することにより心臓の動きと併せて解析する心電図同期SPECTという検査も行われます。(QGSなど)

 

がんの検査

腫瘍や炎症の核医学検査では、腫瘍や炎症の部位に集まる放射性医薬品を注射して場所を特定したり、進行の程度を調べます。通常は全身の画像を撮り、放射性医薬品の集まる程度をみます。

 

大腸がん例 PET画像 PET/CT

PET検査
ご提供:医療法人社団 三思会 くすの木病院

 

 

 

また、他の検査の結果と併せて総合的に判断することで、治療法を選択する際にも役立ちます。さらに、治療を開始した後で、その効果を確かめたり、再発していないかどうかを調べたりする際にも用いられています。乳がんなどの手術時にリンパ節への転移の有無を調べるために行う検査もあります。

 

 

骨の検査

骨の核医学検査では、全身の骨の代謝の様子を画像にして、がんの骨転移、外傷等によるごく小さな骨折など、X線検査ではわかりにくい様々な骨の状態を詳しく調べます。

正常例 疾患例(骨転移)

骨シンチグラフィ
ご提供:慶應義塾大学病院

治療の前後に検査を行うことで、その効果をみたり、疲労骨折や骨粗しょう症による骨折の早期発見などにも用いられています。