冠血行再建への画像診断の活かし方 SPECT /CT Fusionの応用

  日本医科大学 内科学(循環器内科学) 講師 木 元 先生
  日本医科大学 放射線医学 桐山 智成 先生
監修 日本医科大学 放射線医学主任教授 汲田 伸一郎 先生

紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

症例 60歳代、男性
主  訴 労作時息切れ、胸部絞扼感
冠危険因子 高血圧、脂質代謝異常
現 病 歴 3カ月前より歩行時(400-500m)に胸部絞扼感が出現するため受診。
冠動脈CTを実施し、RCAとLCXの2枝に高度狭窄を認めた。
血液検査 LDL-C 94mg/dL、BNP 39.1pg/mL、 eGFR 87mL/min/1.73m2
心 電 図 完全右脚ブロック
心エコー LVEF 61%、後下壁に壁運動低下

経  過

冠動脈造影を実施したところ、冠動脈CTの結果に一致して、RCAとLCXに同程度の狭窄(→)を認めた。

冠動脈撮影

FFRはともに0.75であり、治療の標的病変の選択が困難であったため、運動負荷 99mTc-Tetrofosmin心筋血流SPECTを施行した。
SPECT画像では側壁〜下後壁に非貫壁性梗塞と中等度以上の心筋虚血が認められ(→)、血行再建術の適応があると考えられた。

心筋SPECT
運動負荷99mTc-Tetrofosmin心筋SPECT

SPECT/CT Fusion画像(負荷像)

心筋SPECTと冠動脈CTのFusion画像を作成した。
SPECTで認められた下後壁の心筋虚血はLCX(後側壁枝)によって灌流されており、責任冠動脈病変と考えられた。
後側壁枝にPCIを施行し、その後予後良好に推移している。

活用のポイント

形態的狭窄度の指標である QCAでは、虚血の治療適応とするか否かのグレーゾーンが 40〜 80%と広い。
これに対し、FFRは 0.75〜 0.80と狭く、 FFRガイドの治療適応決定による2年間の予後改善効果も報告されている(FAME研究)1)
このため、FFRが普及してきている。

1)Pijls NH, Fearon WF, Tonino PA, et al. Fractional flow reserve versus angiography for guiding percutaneous coronary intervention in patients with multivessel coronary artery disease: 2-year follow-up of the FAME (Fractional Flow Reserve Versus Angiography for Multivessel Evaluation) study. J Am Coll Cardiol. 2010; 56(3) : 177-84.

ただし、本症例のようにFFRが 0.75とequivocalな場合がある。このような症例では負荷心筋SPECTが治療適応決定に貢献する。

特に多枝病変例では、全ての枝でFFRを施行することもあるが、予め心筋SPECTで虚血責任血管を同定しておくことで効率的に診療を進めることができる。

冠血行再建術などによって、5%以上の心筋虚血改善を認めた症例では予後が良好であることが、負荷心筋SPECTを利用したCOURAGE trial nuclear substudyで報告されている2)

*5%以上の虚血改善:負荷心筋SPECT検査によって算出した虚血領域の改善度

2) Shaw LJ, Berman DS, Maron DJ, et al. Optimal medical therapy with or without percutaneous coronary intervention to reduce ischemic burden: results from the Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation (COURAGE)trial nuclear substudy. Circulation. 2008; 117(10) : 1283-91.

心筋SPECTと冠動脈CTのFusion画像によって、血管走行と虚血の拡がりを対比して見ることができ、標的病変をさらにわかりやすく評価できる。