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急性冠症候群・たこつぼ心筋症 ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型急性冠症候群


ST上昇型心筋梗塞(STEMI)(PCI後のサルベージ効果判定)

AMI後の予後は、主としてEF、梗塞サイズ、残存心筋リスクによって規定される。

EF・梗塞サイズ 安静心電図同期心筋シンチグラフィ
残存心筋リスク 薬剤負荷心筋シンチグラフィ

以下の症例のように、BMIPPと血流イメージングを対比することによって冠血行再建術によりsalvageされた心筋の範囲を評価できる。

症例180歳代前半、女性

AMI。LAD#6に99%狭窄を認め、心電図上も前壁領域のST上昇を認めた。
緊急PCIに成功し、その後Tl/BMIPP 2核種同時心筋シンチグラフィを施行。
Polar map上、Tlでは明らかな異常は認めないが、BMIPPでは前壁中隔領域に取り込み低下を認めた( 図1 )。

図1

Tl

Tl

BMIPP

 BMIPP

PCIによってサルベージされた領域の集積異常が乖離していた。

また、負荷心筋シンチグラフィは退院前のリスク層別化に有用で、可逆性血流欠損を認める症例は退院後の心事故のリスクが高い。
なお、STEMIではまず問診、12誘導心電図、血液検査、心エコーなどで発症早期に診断し、冠血行再建術を行うことが重要である。
そのため冠血行再建術前の急性期では心臓核医学検査の適応は低い。

非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACE)(PCIの適応決定)

症例270歳代前半、女性

無症候性ACSで入院。
II、 III、 aVF 誘導にて陰性T波を認め、精査目的のためTl/BMIPP 2核種同時心筋シンチグラフィを施行
図2 )。

図2

Tl

Tl

BMIPP

 BMIPP

TlよりBMIPPで、下部心室中隔〜下後壁に集積低下を認めた。

図3
負荷 負荷
安静 安静

PCI施行判断のための薬剤負荷Tl心筋シンチグラフィにおいて、
BMIPPに一致した部位に集積低下を認めた( 図3 )。

CAGでRCA#1に99%狭窄を認め、冠血行再建術を施行。
BMIPPを用いた安静検査で、負荷心筋シンチグラフィ同様の虚血の示唆が可能である。

たこつぼ型心筋症

  • たこつぼ型心筋症は、AMIと類似した胸痛発作や心電図変化を認めるため、ACSとの鑑別が困難であり、緊急CAGを行っても有意狭窄を認めない。
  • 左室造影では、広範囲の心尖部収縮不全と心基部の過収縮を呈するが、数週間で正常化し、予後は良い。
図4心電図同期SPECT解析(QGS)による急性期壁運動評価
左室造影 QGS解析画像
左室造影 QGS解析画像

左室造影所見と同様に、QGS解析画像でも心尖部に限局した壁運動異常が認められた。

図5急性期 BMIPP SPECT
たこつぼ型心筋症

AMI

たこつぼ型心筋症 AMI

LADを責任病変とするAMIと比較し、広範囲の心尖部集積低下が高度にみられた。

  • また、MIBG画像では、最も高度な集積低下を示し、壁運動改善後も長期間持続することが多いといわれる。

非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)においては、まず症状、心電図変化、血清マーカーなどにより診断しリスク層別化を行う。

図6急性冠症候群の診断・治療フローチャート

急性冠症候群の診断・治療フローチャート

急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)より

リスクごとのdecision making
高リスク 中等度リスク 低リスク
直ちに入院し冠血行再建術による再灌流療法が優先
  • BMIPPと安静血流シンチグラフィを対比させて評価。集積異常に乖離がある領域はリスク内に存在する生存心筋を意味し、心事故のリスク領域となる。
    →再灌流療法の治療方針決定に有用1)2)
  • 残存する心筋虚血評価では、薬剤負荷心筋血流シンチグラフィが実施可能。これにより検出される心筋虚血の重症度によりリスク層別化が可能3)

1)Fukushima Y, et al. Ann Nucl Med. 2008;22: 363-369.
2)Nishimura T, et al. Ann Nucl Med. 1998;12: 237-248.
3)Nishimura T, et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2008; 35: 319-328.