核医学画像解析ソフトウェア VSBONE BSI ~Ver.3.0による解析結果の評価について~

 

  • 医薬品にかかる「警告・禁忌等を含む使用上の注意」ならびに医療機器にかかる「使用上の注意」等の最新の情報は電子化された添付文書等をご参照ください。
  • 紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
  • 本コンテンツにて紹介の画像解析は「核医学画像解析ソフトウェア VSBONE BSI」を使用する事で実施可能です。
    (※認証番号:301ADBZX00029000)
  • 本コンテンツで使用している画像提供元:旭川医科大学 放射線医学講座 沖崎貴琢 先生
  • 本コンテンツで解析・表示している画像は個人情報保護のため、仮の年齢になっています。
  • 解析結果を必ず目視し、問題が無いことを確認したうえでご利用ください。
  • Bone Scan Index(BSI)は米国Memorial Sloan Kettering Cancer Centerによって提言された全身骨格に対する骨転移腫瘍領域の構成比を百分率で表した指標です1)
  • VSBONE BSIは骨シンチ全身像において骨格の解剖構造を認識し、膀胱等を除いた高集積部位(ホットスポット)の設定を行い、BSIを算出します2)

1)J Nucl Med. 1997; 38: 1401-1406
2)Int J Comput Assist Radiol Surg. 2020; 15: 389-400

 

新たなニューラルネットワークを搭載した核医学画像解析ソフトウェア VSBONE BSI ~ Ver.3.0による解析結果の評価について~

監修

沖崎 貴琢 先生
旭川医科大学 放射線医学講座 教授

説明画像
核医学画像解析ソフトウェアVSBONE BSIは、学習データセットを追加してディープラーニングにより再学習した、新しいニューラルネットワーク(学習済みモデル)を搭載し、Ver.3.0へアップデートされた。
今回のアップデートでは、女性の学習データセットが追加され、さらには⊿BSI を表示する機能も追加されたことから、臨床での積極的な活用を期待したい。
今回、VSBONE BSI Ver.3.0を用い解析を行った乳癌および前立腺癌の2症例を紹介する。
症例1 60代女性 転移性乳癌(ホルモン受容体陽性、HER 2 陰性)

2年ほど前より左乳房にしこりがあることを自覚していた。最近しこりのサイズの増大を認めたために乳腺外科を受診し、精査が施行された。骨シンチグラフィでは頭蓋骨、頸椎~胸椎~腰椎、骨盤骨、胸骨、両側肋骨、両側上腕骨、左肩甲骨に不整形の異常集積が多発しており、多発骨転移の診断となった。この結果を踏まえて、速やかに治療が開始された。

 

■VSBONE BSI Ver.3.0レポート画像
60歳女性
カラースケール

画像1

BSI(%):5.99 HS(n):41
カラースケール

BSI画像1

 

■頭蓋骨領域のホットスポットの比較

Ver.2.1で解析した場合、頭蓋骨の骨転移部位は注目度の低いホットスポットが設定されていたが、Ver.3.0では同部位に注目度の高いホットスポットが設定されていた。

 
前面像
後面像
 
 BSI画像前
 BSI画像後
Ver.2.1
BSI画像Ver2.1前
BSI画像Ver2.1後
Ver.3.0
BSI画像Ver3.0前
BSI画像Ver3.0後
POINT
女性患者の骨シンチグラフィでは、頭蓋骨に病的意義に乏しい非特異的集積が見られることが多い。このため、ソフトウェアによる頭蓋骨の骨転移の判断は比較的難しいと考えられるが、本症例におけるVer.3.0の解析結果では、頭蓋骨の骨転移部位に注目度の高いホットスポットが設定され、専門医の判断と一致していた。
症例2 70代男性 転移性去勢抵抗性前立腺癌

前立腺癌多発骨転移で泌尿器科にて外来フォローされていた。定期的な採血にて血中PSA値の上昇が認められ、骨転移の増悪が疑われたことから骨シンチグラフィを施行した。前回の骨シンチグラフィ上は頸椎~胸椎~腰椎、骨盤骨に異常集積を認めていたが、今回の骨シンチグラフィ上は胸椎を中心として増悪傾向が認められた。BSIの表示機能によっても増悪傾向が確認された。

使用上の注意
VSBONE BSIの解析対象について
  • VSBONE BSIは、成人の骨シンチ全身像を解析対象としています。
  • 小児の場合、骨端軟骨への薬剤の集積や全身の骨重量比など、成人と相違があるため、正しいBSIが算出できません。
  • 頭頂から足先まで仰臥位で撮像されており、前面像と後面像が対になった画像データの解析を前提としているため、下記のような画像が入力された場合、正しく解析できません。
    ・ 前面像と後面像が対になっていない画像
    ・ 前面像と後面像が視野内の患者位置と異なる画像
    ・ 全身を撮像していない画像(胸部や腹部のみ撮像された画像、頭部や膝下を撮像していない画像など)
    ・ 側臥位や伏臥位など、仰臥位以外で撮像した画像(膝を立てたり、身体の前で腕を交差させた場合も含みます。)
  • 下記のような画像が入力された場合、データによっては正しく解析できない可能性があります。 解析結果を目視し、問題が無いことを確認したうえでご使用ください。
    ・ 人工関節や骨折治療用のプレートなど、体内に人工物が存在する画像
    ・ 尿バッグなどが描出されている画像
    ・ 成人の正常骨格と著しく異なる形状の骨格を撮像した画像
    ・ 画像マスク処理、フィルタ処理、分解能補正処理、仮想Planar画像など加工された画像
  • VSBONEによる骨格の解剖構造認識は、撮像時の体位や入力される画像の質(S/N、コントラスト、均一性)など様々な理由により、正しい結果を得られない場合があります。
  • 骨格の解剖構造認識が正しく行われていない場合、誤ったBSIが算出される可能性があります。
  • 骨格の解剖構造認識の結果を修正・編集することはできません。