慢性腎臓病(CKD)と言われたら・・・心臓血管病にも気をつけましょう

監修 旭川医科大学 名誉教授/北海道循環器病院 循環器内科菊池 健次郎先生,編集 国立国際医療研究センター 循環器内科 諸井 雅男先生,近江八幡市立総合医療センター 腎臓センター 八田 告先生

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増え続ける慢性腎臓病

慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)(CKD:シーケーディと読みます)とは、3ヵ月以上続けて尿にタンパクや血液が出たり、腎臓の働きが低下している状態を表します。
生活習慣病とも深く関連するこの病気は日本でも増加し、患者数は1,330万人にものぼります。20歳以上の成人の8人に1人がこの病気に該当すると推定され、新たな国民病ともいわれています。

糸球体は血液をきれいにしてくれるよ!

解説図:血液をきれいにする腎臓

腎臓はさまざまな働きをしていますが、最も重要なのは心臓から拍出される血液量の20-25%を受け入れ、体内に流れる血液をきれいにすることです。腎臓の中には毛細血管(もうさいけっかん)のかたまりで血液をこしとるフィルターである糸球体(しきゅうたい) とこしとった原尿から体に必要な物質を再び吸収する尿細管が(にょうさいかん) あり、体に必要なものと不要なものとを分別しています。腎臓が障害されると有害な老廃物をうまく尿に排泄できなくなったり、体に必要な物質の再吸収やホルモンの調節ができなくなってしまいます。

慢性腎臓病では、心臓血管病がおこりやすくなるってホント?

慢性腎臓病は健康診断で指摘されても自覚症状がほとんどなく、気づかずに放置されることが多く、ひどくなると腎臓が働かなくなり、透析や(とうせき) 腎移植が(じんいしょく) 必要になります。また、慢性腎臓病にかかると心臓や血管の病気をおこす危険が約3倍も高くなるといわれています。

慢性腎臓病の有無と心臓血管病の発症率(久山町研究より)

心臓血管病とは、心筋梗塞・心不全・脳卒中などをいいます。

なぜ、慢性腎臓病になると心臓血管病をおこす危険が高くなるのでしょうか?それは腎臓の働きの悪いでは高血圧(こうけつあつ) や糖尿病(とうにょうびょう)、体の中の活性酸素(かっせいさんそ)が増えます。この活性酸素は動脈を傷つけることがわかっており、知らず知らずのうちに心臓や血管に負担がかかり、大事な血管が傷ついてしまったり、心臓の働きが悪くなったりするからです。

透析治療が必要になる前に心臓血管病は知らないうちに進んでいるよ!

透析が必要になった人よりも、透析が必要になる前に心臓血管病で死亡する人の方が多いことがわかってきました。

慢性腎臓病患者の予後(5年間の追跡調査)

慢性腎臓病といわれたら・・・

慢性腎臓病では、病気の進行をおさえ、心臓血管病を予防するために生活習慣を見直し、改善することが大切です!

こんな生活習慣は要注意!

喫煙
喫煙は心臓血管病をはじめ、さまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です。
肥満
自分の体力や体調にあわせて、適度な運動を定期的におこないましょう。
飲酒
過度の飲酒は、腎不全の危険因子となるので注意しましょう。
塩分の過剰摂取
塩分は1日6g以内におさえましょう。
タンパク質を多く含んだ食事の摂取
タンパク質は腎臓が悪くない人の6〜8割におさえましょう!

くわしくは主治医にご相談ください。

さらに高血圧や糖尿病をともなう慢性腎臓病の患者さんの場合、きちんと治療する*ことが腎臓病と心臓血管病の進行を防ぎ、阻止する上で重要です。

*家庭血圧(朝起床後1時間以内と夜寝る前に測定)を125/75mmHgより低く、血糖値を適正(ヘモグロビンA1C値を6.5%より低く)に管理することが目標です。

心臓血管病が気になる方も気にならない方も早めに検査をうけましょう

生活習慣の改善、そして血圧や糖尿病などのお薬の投与により腎臓病の進行をおさえるだけでなく、心臓血管病になるのを食い止めることができます。しかし、慢性腎臓病の患者さん、特に糖尿病の方では心臓血管病があってもはっきりした自覚症状がないことが多く、気づかずに放置され心臓血管病が進行し、命にかかわることも少なくありません。

たたとえ軽くてもめまい感・息切れ・どうき・胸の圧迫感・胸の不快感などの症状がある場合、もしくは、健康診断で心電図異常があるといわれたら、すすんで主治医・循環器専門医に相談しましょう。
(くわしくは下のチェック表を参照してください。)

主な心臓血管病の検査にはどのようなものがありますか?

主な心臓血管病の検査とその特長(全て保険診療でおこなえる検査です。)

心電図検査(しんでんずけんさ)

心臓の基本的な検査で、「安静時心電図検査」と「運動負荷心電図検査」があります。

心電図検査、左:安静時心電図検査,右:運動負荷心電図検査

生理機能検査(せいりきのうけんさ)

超音波を使って心臓の働きや血管の動脈硬化のすすみ具合をみます。外来で簡単にできる検査で、痛みをともなわない安全な検査です。

生理機能検査

心筋RI検査(しんきんあーるあいけんさ)(別名:心筋シンチグラフィ)

微量の放射能を含んだお薬を注射し、体内から出る放射線を特別なカメラで検出して、心臓の筋肉の「血液の流れ」や「心臓の働き」を診断します。
この検査は腎臓の働きを低下させないので、慢性腎臓病の患者さんにも安心しておこなうことができます。

心筋RI検査、左:正常例,右:血流の低下がある場合

非造影MRI検査(ひぞうえいえむあーるあいけんさ)

脳の血管などを造影剤を使わずに画像化し、血管の狭窄などの異常がないか検査する方法です。造影剤を使用せず安全性の高い検査です。

非造影MRI検査

血管CT検査(けっかんしーてぃけんさ)

血管の形態をみる検査です。造影剤を使用するので慢性腎臓病の患者さん(特に糖尿病にもかかっている場合)の腎臓の機能を低下させることがあるため、十分に注意しておこなわれます。造影剤アレルギーのある患者さんにも慎重におこなわれます。

血管CT検査、写真:心臓の血管の様子

冠動脈造影検査(かんどうみゃくぞうえいけんさ)

足の付け根、腕や手首の血管から細いカテーテルを挿入し、心臓に酸素や栄養を供給する血管 (冠動脈)を造影する検査です。冠動脈の形態を最も正確に知ることができますが、通常、入院を要し、また造影剤を使用するため、上記5の検査と同様の十分な注意が必要となります。

冠動脈造影検査

心臓血管病の検査で異常がみつかったらどうするの?

  1. ①食事指導を含めた生活習慣改善の強化
  2. ②お薬による厳格な治療(血圧・血糖・脂質目標値の達成)
  3. ③カテーテルを用いた治療
  4. ④その他の治療

    心臓の弁の治療や重い心臓や血管の病気を治療するための外科的手術などがあります

①②は全員におこなわれますが③④は検査の結果や患者さんの状態に応じておこなわれる治療です。

心臓カテーテルによる治療:1.ガイドワイヤー挿入(動脈硬化で血管が狭くなっているところ) 2.バルーン・ステントによる拡張 3.拡張治療終了

心臓血管病を疑うチェックリスト

あなたの心臓・血管は大丈夫?
慢性腎臓病の患者さんで、次のうちどれか1つでも当てはまるものがある方は、心臓血管病の検査が必要です。
早めに主治医に相談しましょう。
(特に糖尿病にもかかっている患者さんでは、たとえわずかな症状でも主治医に相談しましょう。)
  • 階段や坂道を登っているときに、数秒から数分、胸が痛んだり、息が切れることがある。
  • 冷や汗をかいて、夜に目が覚めたことがある。
  • 突然の胸の痛みで、目が覚めたことがある。
  • 息苦しくて、夜に眠れないことがある。
  • めまい感・立ちくらみ・手足のしびれ・脱力感(だつりょくかん)を時々感じる。
  • 胸やみぞおちに違和感を感じることが多い。
  • 歩くとふくらはぎや太ももが"つる"、"痛む"、休むと良くなる。
  • 最近、足がむくみ、体重が増えてきた。
  • 糖尿病や高血圧があり、尿に「微量アルブミン」や「タンパク」がでているといわれた。
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