透析を始めたら、「心臓のケア」を。でも、それはなぜ?

透析と心臓にどんな関係があるの?−と不思議に感じる方もいらっしゃると思います。

実は、透析を受けている患者さんにとって、心臓病はとても重要な病気なのです。

例えば、透析患者さんの死亡原因をみてみると、透析患者さん全体の約3分の1が心不全や心筋梗塞といった心臓病で亡くなっています。

日本透析医学会 統計調査委員会:
図説「わが国の慢性透析療法の現況
年別死亡原因の推移2006年」より作図
透析患者さんの死亡原因
透析患者さんの死亡原因

どうして、心臓が悪くなってしまうのでしょう?

透析患者さんの心臓が悪くなる原因は、大きく分けて2つあります。

1つめは、腎臓が働かないために、体内をめぐる血液の量が増加して、心臓に余分な負担がかかることです。

2つめは、心臓に酸素や栄養を送っている血管(冠動脈(かんどうみゃく))がつまってしまう「虚血性心疾患」です。透析患者さんは、はっきりとした症状がなくても虚血性心疾患にかかっている場合が多く、実際、約6割の方が虚血性心疾患にかかっていることです。

1つめも2つめも、どちらもしだいに心臓を疲れさせてしまいます。心臓の疲労−それが死亡原因の中で最も多い「心不全」と呼ばれる病気です。

透析患者さんの心臓が悪くなる2つの原因

透析患者さんの心臓が悪くなる2つの原因

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、血管がつまって、心臓に酸素が届かなくなる病気

虚血性心疾患は、心臓の血管が動脈硬化(どうみゃくこうか)によりせまくなることによ って起こります。動脈硬化ができていても、はっきりとした自覚症状がない場合もあります。しかし、動脈硬化部分が大きくなったり、やぶれたりすると、そこで血管がつまってしまい、そこから先に血液が流れなくなってしまいます。血液が流れなくなると酸素が届かなくなり、狭心症や心筋梗塞の発作が起こります。

狭心症と心筋梗塞

狭心症と心筋梗塞

虚血性心疾患による
胸がしめつけられるように痛い、
息苦しいなどの発作は、
突然起こります。
心筋梗塞は、命にかかわることも…

狭心症と心筋梗塞

「症状がないから大丈夫」とは言えません。きちんと検査を受けることが大切。

ある調査では、透析患者さんで虚血性心疾患と診断された人のうち、症状がないと答えた人は半数にものぼりました。

また、透析を始めてから最初の1年間は、特に心筋梗塞が起こりやすいことがわかっています。

透析を長く続けている方も、始めてから間もない方も、自分の心臓の状態を知るために、きちんと検査を受けることが大切です。

透析患者さんの虚血性心疾患と症状
透析患者さんの虚血性心疾患と症状

心臓病を調べるための検査

心臓の検査では、まず、一般的な健康診断でも行う聴診や心電図を行います。これらで異常がみられたときは、心エコー、CT、心筋シンチグラフィなどの画像診断で、心臓の状態や機能を詳しく調べます。心臓病の可能性が高いときは、足の付け根や腕、手首の血管から心臓へ細い管(カテーテル)を入れ、どの部分に動脈硬化ができて細くなっているかを調べる冠動脈造影を行います。

主な検査とそのながれ

主な検査とそのながれ

透析患者さんに適した検査心筋シンチグラフィ

心臓の検査にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、身体への負担が少なく安全であること、透析患者さんに多い血管の石灰化にも対応できることなどから、心筋シンチグラフィは透析患者さんに勧められる検査です。

心筋シンチグラフィの画像を見ると、血流の悪くなっている場所、心臓の筋肉(心筋)の様子、心臓のポンプ機能の働き具合などがわかります。

心筋シンチグラフィの撮影装置と画像(例)

心筋シンチグラフィの撮影装置
装置のベッドに両腕をあげて仰向けに寝ている間に、
胸の周りをカメラが動いて撮影。
撮影時間は20〜30分。
心筋シンチグラフィの撮影装置
心筋シンチグラフィで撮影した心臓の画像(例)

心筋シンチグラフィには、いくつかの種類があります。

心筋シンチグラフィには、主に血流を調べる「心筋血流シンチグラフィ」と、心臓の筋肉(心筋)の代謝を調べる「心筋代謝シンチグラフ ィ」があります。

また、心筋血流シンチグラフィでは、安静にして撮像する方法(安静心筋シンチグラフィ)と、血流の少ない場所をよりわかりやすくするために、運動や薬によって心臓に負担をかけて調べる方法(負荷心筋血流シンチグラフィ)があります。

負荷心筋血流シンチグラフィ

負荷心筋血流シンチグラフィ

心筋シンチグラフィでは放射性医薬品を使いますが、その量はわずかで、放射線の影響はほとんどありません。

心筋シンチグラフィでは、微量の放射線を出す物質を含んだ薬(放射性医薬品)を使います。この薬は血管を通って心臓の筋肉(心筋)に集まり、そこで放射線の信号を出します。その信号を専用のカメラが受け取り、画像にするのです。

心筋シンチグラフィで使われる放射線の量はほんのわずか。胃のレントゲンと同じくらいで、CT検査より少ない量です。また、体内に入 った薬は、数日で消えてしまいます。

核医学検査で受ける放射線の量(心筋シンチグラフィ含む)

核医学検査で受ける放射線の量(心筋シンチグラフィ含む)

心筋シンチグラフィについてよくある質問

Q1

心筋シンチグラフィに使われる放射性医薬品に、副作用はないのでしょうか?

A1

放射性医薬品の副作用として、ごくまれに吐き気、めまい感などがみられることがありますが、多くは軽い症状です。また、上記でも解説したように、放射性医薬品に含まれる放射線はごく微量で、時間とともに少なくなるので、放射線の影響はほとんどありません。


Q2

心筋シンチグラフィの検査を受ける時、痛みはありますか?

A2

心筋シンチグラフィで使用される放射性医薬品は、注射する時以外に痛みはありません。


Q3

心筋シンチグラフィは、どのくらいの頻度で受けたらよいのでしょうか?

A3
A3

2〜3年に1回、受けていただくとよいでしょう。ただし、検査の結果によって、その後の検査の間隔や治療が変わるので、主治医の先生のお話をよく聞いてください。


Q4

心筋シンチグラフィをできる検査施設(病院)は、どのくらいありますか?

A4

現在、全国にシンチグラフィができる病院は約1200施設あります。病院ごとに行われている検査が異なりますので、主治医の先生にご相談してから検査を受けてください。


Q5

検査時間は何分ですか?何か準備が必要ですか?

A5

検査時間は20〜30分くらいです。1日2回行われる場合もありますので、検査前にご確認ください。
準備は必要ないですが、食事の制限などが必要な検査もありますので、検査前にご確認ください。


Q6

心筋シンチグラフィの後、CTやMRI造影検査のように検査直後に透析が必要ですか?

A6

心筋シンチグラフィで使用される薬剤は少量なので、検査直後の透析は特に必要ありません。


Q7

検査は健康保険でできますか?

A7

主治医の先生が必要だと認めた検査に関しては、健康保険が適用されます。主治医の先生とご相談ください。

Q1

心臓病や検査についてわからないことは、担当医師や検査担当技師におたずねください。

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