日常臨床でみられる脳血管性認知症の病像は?

Answer
高血圧や糖尿病などの生活習慣病で先生方の医院・クリニックに通院している患者さんのなかで、歩行が遅くなった、動作が緩慢になった、転びやすいなどの運動障害や歩行障害、尿便失禁がみられるときに脳血管性認知症の存在を疑います。明らかな脳血管障害の既往が認められず、家族や周囲の人々が気づいたときには認知症状がかなり進行している事例が多いようです。

脳血管性認知症(多発性ラクナ梗塞)の症例

78歳 男性 主訴は歩行障害 

  • 5年前から高血圧を指摘され、近医で投薬を受けている。
  • いつ頃からかはっきりしないが、尿失禁がみられ、注意をしても効果がない。
    動作も緩慢であるが明らかな脳血管障害の既往はない。
  • 家族が気がついたときには、歩行が小股で不安定であった。
  • 薬の管理ができないらしい。意欲に乏しくボーとしていることが多い。
  • 診察では、問診に対してそれなりに正答するが、事実誤認の話が少なくない(妻、息子との3人暮らしであるが、「家内と2人」と)。
  • 神経学的には、表情に乏しく無欲状の顔貌、発語は不鮮明で聞き取りにくい(構音障害が目立つ)、流涎が多い、下肢>>上肢で強い筋強剛、歩行は、不安定で小股、すくみ足、すり足、床から足底が上がらない、動作緩慢で後方に倒れやすい