日本メジフィジックス 医療関係者専用情報

心臓【主な核医学検査】

心筋脂肪酸代謝シンチグラフィ

使用される放射性医薬品
123I-BMIPP 【商品名:カルディオダイン®
検査の原理
123I-BMIPPは生体内にある脂肪酸と同様の体内動態を示し、細胞内へ取り込まれた後、脂質プールおよびミトコンドリア内に移行します。側鎖としてβ位にメチル基があるためβ酸化を受けにくく、心筋内に長く留まります。健常心筋のエネルギー源は主に脂肪酸のβ酸化に依存していますが、虚血や低酸素状態になるとブドウ糖を利用した解糖系へ移行します。本剤の取り込みを評価することにより心筋局所の脂肪酸代謝障害を知ることができます。
検査の流れ、注意事項
安静時に薬剤を投与して30分後にSPECT撮像します。3〜4時間後に再分布像を収集することもあります。脂肪酸代謝と同時に心筋血流の評価を実施する場合は、201TlCl(塩化タリウム)を同時投与した2核種同時収集SPECTを実施することもあります。
解析方法、定量法
SPECTによる心筋の3断面画像を作成して、代謝異常を診断することが通常ですが、Polar Map(2次元極座標表示)により心尖部から心基部までを1枚の画像で表現することもできます。2核種同時収集SPECTより血流と代謝の乖離(ミスマッチ)を評価することもできます。
また、心電図同期SPECTを実施することにより、QGS(Quantitative Gated SPECT)等の解析ソフトを用いて、心筋血流SPECTと同様に各種心機能の評価も可能です。

心筋の3断面画像
Tl-SPECT画像
BMIPP-SPECT画像
AMI発症にてPTCA後3日目の症例

塩化タリウムによる心筋血流とBMIPPによる脂肪酸代謝の2核種同時収集SPECT

心尖部を中心に前壁中隔の広範な虚血領域がBMIPPにより明瞭に描出され、また塩化タリウムにより血流が改善していることが分かる。

Polar Map(2次元極座標表示) 上記と同症例
Tl Polar Map(左上の図)、 BMIPP Polar Map(右上の図)、TlからBMIPPを減算したMismatch Map(左下の図)、2核種同時収集により病期を同じくして位置ずれのない、虚血領域とPTCAにより血流が改善された領域を明瞭に描出することができる。

臨床的意義
  • 不安定狭心症、冠攣縮性狭心症、急性冠症候群を疑う胸痛症例、気絶心筋、冬眠心筋、急性心筋梗塞、慢性冠動脈疾患、心筋症、心不全などの診断や、心筋血流シンチグラフィとの乖離(ミスマッチ)による心筋生存能(viability)評価に有用です。
  • 予後評価・リスク層別化、治療効果判定にも用いられます。
参考資料