●紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については添付文書を参照ください。
●DaTViewおよび3D-SSPによる画像解析は、「核医学画像解析ソフトウェア medi+FALCON」†を使用することで実施可能です。(† 承認番号: 301ADBZX00045000)
多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA-P)
主 訴 |
歩行障害、上肢運動障害 |
現 病 歴 |
X-2年8月頃 : 左上肢の動かしにくさを自覚。
X-1年6月 : 両上肢の運動障害と動作緩慢があり、近医神経内科受診。
X-1年12月 : 頑固な便秘・尿閉となり自己導尿開始。このころより構音障害(断綴性)が出現。
X年6月 : レボドパ450mg/日まで増量されるも運動障害の改善に乏しいことから、精査目的で当院紹介となる。 |
現 症 |
初診時は、明らかな脳神経麻痺なし、構音障害(断綴性)あり、明らかな眼振なし。 |
治療・経過 |
多系統萎縮症(MSA-P)と診断し、リハビリ等を行い経過観察中。 |
小脳・脳幹萎縮 T2*被殻スリットあり。典型的なMSA-P症例である。
小脳及び両側大脳基底核の血流低下あり。
Early画像におけるH/Mは2.38、Delayed画像におけるH/Mは1.94であり、Washout Rateは40.5%であり、心筋への取り込みはほぼ正常であった。
DaTView結果画像
右優位の線条体への集積低下を認め、症状と画像の左右差は一致している。DaTViewの視覚的な情報ではPDと比べて際立った特徴はなさそうな印象である。
■まとめ
本症例も含めた当院の検討結果では、PDとMSA-PとでSBRに有意差はなく、パーキンソニズム症例の鑑別という観点では、DaTView解析結果を単独で用いることは慎重でなければならないが、本症例ではDaTSCANにより黒質線条体系の障害を明らかにできたといえる。今後はDaTViewのオプションとして線条体部位ごとにSBRを解析できる機能が付加されれば、より有益な情報が得られると考えられる。