NTC46_テーマディスカッション_田倉先生

話題提供①
心筋虚血評価の費用対効果

座長

中田 智明 先生
函館五稜郭病院

伊苅 裕二 先生
東海大学

演者

田倉 智之 先生
東京大学

コメンテーター

阿古 潤哉 先生
北里大学

 

本邦のCCSにおける心筋虚血評価の費用対効果を、リアルワールドのビッグデータを用いて36カ月の長期縦断研究した結果を報告する。患者の背景に対する傾向スコアマッチングの手法を用いてデータ解析を行った(図3)。

 

話題提供:心筋虚血評価の費用対効果
【図3】リアルワールドデータの解析により、解剖学的検査と機能的虚血検査の費用対効果を算出し、比較した。

 

 2012年から2019年における全国のレセプトデータを分析対象とし、解剖学的検査群(冠動脈CT(CTA)、CAG)と、機能的虚血検査群(SPECT、FFR)の2群を設定した。さらに心カテ室に至らなかった集団、心カテ室に至った集団、及び全患者の3集団に区分し、分析した。
 生命予後に関してはLife year(生存年)により評価したが、3集団とも解剖学的検査群と機能的虚血検査群の間に有意差は認めなかった。一方で治療にかかったコストについては、入院費用を中心に機能的虚血検査群で有意に低く、また費用と効果のバランス(総費用÷生存年)は3集団とも機能的虚血評価を行う検査群で費用対効果が高いことが示された1)
 臨床的な有用性ではなく総医療費という経済性に関する評価で群間の差が認められたのが本研究の一つの特徴である。また機能的虚血評価群においても診断の過程で必要な患者には解剖学的検査(冠動脈CTやCAG)を実施しており、各種のモダリティを適切に組み合わせて診断することの重要性が、経済学的にも示されたと解釈している。

1) Takura T, et al. J Nucl Cardiol. 2021. doi:10.1007/s12350-020-02502-9. Online ahead of print.