ダットスキャン静注 症例集2

本態性振戦とパーキンソン病の合併

症例提供 : 大阪赤十字病院神経内科 高橋 牧郎先生

60歳代後半 女性

主  訴

左上肢振戦

既 往 歴

不安神経症、うつ状態

家 族 歴

兄にも振戦があるが、詳細は不明。

現 病 歴

30歳頃 : 時々動作時の左手の振戦を自覚していた。

 

X-4年頃 : 振戦が増強するためA病院神経内科を受診、本態性振戦と診断されβ-ブロッカーやクロナゼパムを処方されたが、効果は限定的かつ一時的であった。

 

X-3年 : 左下肢にも振戦を自覚するようになる。

 

X-1年6月 : 当院を初診。左上下肢優位に動作時・姿勢時振戦を軽度認めたが、明らかな筋強剛や歩行障害は認めなかった。左上肢にはごくわずかな巧緻運動障害とre-emergent tremorも認めたため、パーキンソン病(PD)(ホーン・ヤール1度)と診断し、レボドパ治療を開始した。

治療・経過

X-1年7月 : レボドパ100mg/日より開始したが、振戦は軽減せず。

 

X-1年8月 : ゾニサミド100mg/日を追加し、症状は改善した。

 

X年1月 : 卓球もできるようになり、食欲も増加した。

 

X年4月 : 下肢優位の左半身のしびれ感を自覚するようになり、レストレスレッグス症候群を疑いプラミペキソールを追加したところ、症状は消失。うつ気質も改善し、表情も明るくなった。

 

X年9月 : 夕方に左上下肢巧緻運動障害などのwearing offを自覚するようになりレボドパ150mg分3に増量した。その後、振戦、筋強剛もなく症状は落ち着いている。

MRI(X-1年6月)
T1WI
T1WI画像
T2WI
T2WI画像1
T2WI
T2WI画像2

 

明らかな脳萎縮、虚血性病変や線条体の異常信号は認めなかった。

MIBG心筋シンチ (X年4月)
Early

Early画像

Delayed

Delayed画像

 

Early  H/M比 2.2(閾値 2.6)
Delayed H/M比 1.5(閾値 2.2)
Washout Rate 68.2%
 
後期相で明らかな心筋の取り込み低下を認めた。

DaTSCAN(X年5月)
Original画像
Original 画像
DaTView結果画像

DaTView 結果画像

 

線条体被殻背外側右優位に集積低下を認めた。

まとめ

約30年にわたる本態性振戦の病歴があり、パーキンソニズムが目立たず、画像が診断・治療に貢献した症例である。
PDの診断としてMIBG心筋シンチは有用であったが、線条体への集積低下の左右差と臨床症状との対比を行える点でDaTSCANが有用と考えられた。


*本資料にはMIBG効能外の内容を含みますが、使用を推奨するものではありません。