・前立腺辺縁に線源をおくことにより、尿道の線量を抑えられる
・前立腺の腫れも少なく、出血も少なくなる
![]() Uniform Loading |
![]() Peripheral Loading |
● 線源発注のために、Volume Studyを行う 1. Volume Study |
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必要な線源強度、個数を推測するために治療に先立ち、volume studyを行う。前立腺のcontouringは、横断面だけでなく、矢状断面も参考にしながら調整していく。
前立腺の大きさを知ることが目的なので、浅い砕石位で十分である。尿道カテーテルも必要ない。
Mount Sinaiのノモグラム(1990年代版)の一例を示す。
前立腺体積と必要な総線源強度は比例関係にあるので、測定した前立腺体積から治療に必要な総線源強度を推測することができる。外照射併用症例では、2/3を乗じた数値となる。
他施設のノモグラムを使用する場合は、各施設で妥当性について検討する必要がある。
Dr. Stoneが2000〜2005年のデータに基づき作成された最新の「オンコシードノモグラム2005年版(有償)」を利用することが望ましい。
基本的には、大きい前立腺には高めの線源強度、小さい前立腺には低めの線源強度のシードを使用する。
外照射併用症例の場合は、さらに低めの線源強度のシードを使い、シード単独症例と同等のシード数で治療できるように線源強度を選ぶと良い(1週早めに発注し、線源強度を減衰させて使用する場合もある)。
あまりにシード個数が少ないときには、migrationによる影響が大きくなるので、当施設では、必要個数が60〜75個くらいになるように(少なくとも計45個を下回らないように)線源強度を選んでいる。
1.Nomogramで決定した総線源量の約75%を辺縁部に配置
2.前立腺平均長(頭尾方向)の測定
→針1本あたりの線源個数ならびに辺縁部の針の本数を決定
<辺縁部針本数の簡易算出法>
辺縁部の針は1cm以内の間隔で配置するので水平断最大断面画像の前立腺外周長より、針の本数を簡単に求める方法もある。
例1:水平断最大断面画像の前立腺外周長14.5cm÷1cm≒必要な辺縁部針本数15本
例2:水平断最大断面画像の前立腺外周長14cm÷1cm=必要な辺縁部針本数14本
1. 針1本あたりの線源個数 = 前立腺平均長 +1
2. 辺縁部の針 = 辺縁部の総線源数/針1本の線源数
前立腺平均長に1を加えた数値を辺縁領域の針1本あたりの線源個数として算出する
メモ(1) |
● Nomogramで算出した数字はあくまで概算。 −術中に適宜調整する感覚で行う。 ● 日本人の多くの症例では、目安として −辺縁部の針は12〜14本となる。体積が小さい場合は10本くらい。 −針1本あたりの線源個数は、4〜5個くらいになる。 ● 「辺縁部線源75%」も厳密に考えすぎなくてよい。 −前立腺体積が小さい場合は85〜90%辺縁部でも十分良好な線量分布が得られる。 |
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・ 各辺縁部の針の間隔は1cm以内で、できるだけ均一で粗密がないように心掛ける。 ・ 針を刺入する順番は各施設でやりやすいように。 ・ 恥骨の干渉のある症例では、@−Cの針がスムーズに刺入されないので、さらに強砕石位にして、画像取得からやり直す。 ・ 支持針(アンカー針)使用する場合は、各施設のやりやすい順番で刺入すれば良い。
メモ(2) |
● 各辺縁部の針の間隔は1cm以内で、できるだけ均一で粗密がないように心掛ける。 ● 尿道・直腸を意識しすぎると、BとCの間、DとEの間で間隔が開きがちになり、結果としてcold spotが生じてしまうので注意する。 ● 左右対称で奇数本数の場合は直腸側の正中に刺入する(DとEの間)。 ● ドッグイヤと呼ばれるLとMの位置もきちんと辺縁に入れる。 ● 直腸側の針は直腸から5mm以上の間隔をとる。 ● 支持針(アンカー針)は、必要ないという意見もあるが、後述の内側部で使用する位置に刺入すると、無駄が無い。 |
尖部方向で直腸は挙上しているので、注意が必要。
1段上のテンプレートホールから下向きに角度をつけて針を刺入する方法もある。
尖部用に1段上のテンプレートホールから針を刺入し、尖部の線源を挿入する。
![]() ![]() 辺縁部の針がすべて刺入された段階で、超音波画像を再取得する。 目的は、針を刺入したことによる前立腺の偏位、変形の調整を行うことである。末梢のみに針を刺入しているので、出血による腫大が比較的少ない。 前立腺体積が大幅に変わることはまれ。 |
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超音波画像を矢状断面にして、辺縁部に線源を挿入する。 水平断面で左下(前立腺右葉背側)から時計回りの順番でシードを均等な間隔で挿入していく。 |
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メモ(3) |
● 水平断にて左下(右葉7〜8時付近)の針から時計回りで線源を挿入していく。
● Base〜Apexにかけて、等間隔に線源を挿入する(VariSeedの場合 automatic uniform loading機能を利用すると便利)。 多くの場合、1本の針につき線源4〜5個挿入することになる。 ● Apexの位置が不明瞭なときはプローベを左右に動かすことによって判断できる。泌尿器科医と放射線科医の双方で確認することが望ましい。 ● 線量計画装置のソフトウェア上では頭尾方向3cmしか前立腺輪郭が描出されていないのに実際の超音波画像では4cm、あるいはその逆、ということが起こり得る。その場合には、実際の超音波画像を優先して線源を挿入する。 ● 矢状断で針が重なる場合は、重なっている刺入針を手前に引いて干渉がないようにする。 ● 直腸にガスがたまり超音波画像が不鮮明になった場合の対応。 「プローベを廻したり、前後に動かしてみる」または、「一旦プローべを手前に引いて潤滑剤を付け再挿入を試みる」。以上で鮮明な画像が得られない場合はテンプレートを手前にずらし、プローべ脇からネラトンカテーテル(12Frまたは24Fr)を用いてディスポシリンジでガスを吸引する。それでも改善が見られない場合は、プローべを抜きカテーテルを入れガスを抜く。 |
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内側部の線源はBaseとApexをしっかり治療するのが目的である。 |
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![]() リアルタイムに作成される線量分布を見ながら線源配置を検討していく。満足できるような線量分布であれば、X線写真を撮影し治療を終了する。 |
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● 術中計画法の利点・特長 ・術中の画像をそのまま使って計画することで画像の不一致が少ない。 ・線源間隔を自由に調節できるMickアプリケータの特長をいかしている。 ・Peripheral Loadingにすることで、尿道の過線量を抑える。 ● 術中計画法の注意点 ・計画時間が加わるので、挿入術時間が20分あるいはそれ以上の時間を余分に必要になることがあるが、経験と熟練によって学習曲線が得られる。 ・術後計算結果と必ずしも一致しないので各施設で自分たちの傾向を把握しておくことは必要である。
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![]() 対策; 透視だけでは「Tenting effect」が生じやすいが、リアルタイムにTRUSで観察しながら刺入すれば、起こりにくい。 |
![]() 対策; リアルタイムにTRUSを見ながらシード線源間隔を調整して針を引く。5mmのclick間隔にこだわる必要はない。 外筒針を回したり、(出し入れしたり)する。 (ただし、線源も動きやすくなる) |
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![]() 対策; @辺縁部は左右対称に交互に刺入していく。 A支持針(アンカー針)は両側一緒に、内側部に刺入する。 |
![]() 対策; リアルタイムにTRUSを見ながらシード線源間隔を調整して針を引く。5mmのclick間隔にこだわる必要はない。 外筒針を回したり、(出し入れしたり)する。 |
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![]() 対策; リアルタイムにTRUSを見ながらシード線源間隔を調整して針を引く。5mmのclick間隔にこだわる必要はない。 |
術中の線量分布と1ヶ月後の術後計画には統計学的には有意差はないが、ある程度のバラつきは発生する。
(このデータは単独、併用症例をすべて含めたデータ)
多くの施設で、直腸線量は術後計算のほうが高めになってくる。
各施設で、どのような傾向にあるのか把握し、良好な学習曲線を得られるよう工夫が必要である。
・シード治療単独212症例において、Grade2直腸出血と直腸線量の関係を調べた。
・処方線量160Gy。
・22例でGrade2直腸出血を認めた。
・発症時期は、治療後1〜2年が多かった。
・Postplan RV100を1.3ccで群分けした。(図1)
・RV100≦1.3cc:5% rate at 5 years
・RV100>1.3cc:18% rate at 5 years
・そのほかの線量項目でも直腸線量と直腸出血の関係が確認された(図2)。
IJROBP 2001;50: 335-341
図1
図2
・7年potency維持率:55.6%
・Proximal penile dose(尿道球部、陰茎脚)の線量に関係がある(図3)。
・若年者(60歳以下)、治療前の性機能がしっかり保たれていると、尿道球部に高線量が当たっても影響が少ない。
IJROBP 2009;75: 639-648
図3
Penile bulbへの線量が高いほど性機能への影響が大きいことが示されている。
Potency preservation
・尿道球部D25<50%:70.6%
・尿道球部D25≧50%:45.2%
術中計画法で前立腺内に線源を配置することを心がければ、Penile bulbへの線量は低く抑えられる。(Mount Sinai Dr Stone 提供)