
放射線療法とは、前立腺に放射線を当て、がん細胞を殺す方法です。がんが前立腺に限局した早期がんに対して行うもので、手術とならんでがんを完全に治す可能性のある治療法のひとつです。また、前立腺の周囲にひろがったがんに対しても、内分泌療法(ホルモン療法)と併用して放射線療法が行われます。
放射線療法には、体外から照射する方法と、放射線を出す小さな線源(せんげん)を前立腺に挿入する組織内照射法(そしきないしょうしゃほう)があります。体外から照射する方法では、一般的に1日1回、週5回で7週間ほどの通院が必要になります。組織内照射法では、線源は永久的に前立腺に残りますが、放射線の量は徐々に減り、1年後にはほとんどなくなります。この治療は体への負担が小さく、短期の入院治療ですみますが、対象は比較的おとなしいタイプの限局がんの方がこの治療のよい適応です。
放射線療法には尿の回数が増えたり、下痢や便に出血がおこるという副作用がありますが、通常程度は軽く、頻度もまれです。

前立腺がんは男性ホルモンの影響を受けて大きくなる性質があります。そのため、体内の男性ホルモンを低下させたり、その作用を抑制し、がんの増殖を抑えようという治療法が内分泌療法です。
内分泌療法には、薬物療法と、男性ホルモンをつくる臓器である左右の精巣を摘除する両側精巣摘除術(りょうそくせいそうてきじょじゅつ)があります。薬物療法には精巣からの男性ホルモンの分泌を低下させる注射薬のLH-RHアゴニストと、男性ホルモンの作用を阻害する内服薬の抗アンドロゲン剤が主に使われ、しばしば同時に用いられます。
前立腺がんの進行の度合いにかかわらず、すべての患者さんが対象になる治療法で、手術療法や放射線療法と組み合わせて用いられることもあります。
内分泌療法は初期には非常に有効ですが、時間の経過とともに効果が弱くなるという問題点があります。

がんの悪性度が低く、PSA値が低く、直腸診や生検の結果からもがんのひろがりが小さいと判断された場合は、経過観察となることがあります。
前立腺がんは高齢者に多く、一般に他のがんに比べると進行がゆっくりとしているので、治療による体への負担が大きいと、かえって生活の質を落とす恐れがあるためです。必ずしも必要でない治療を避けるための選択肢のひとつです。
経過観察となるのは、がんが前立腺の中にとどまっており、がんの悪性度が高くない場合です。
経過観察中は定期的にPSA検査を受けながら、注意深く見守っていくことが必要です。
PSA値が上昇した場合などは、治療開始が遅れないように、必要に応じて治療方針の再検討が行われます。

PSA検診は、検査を受診することで転移がんに進行する危険率が下がるという「利益」がある反面、死亡に影響しないようながんが約10%の割合で発見されるなど、検診を受診することでこうむる「過剰診断・過剰治療」といった不利益も存在します。
前立腺がんの特徴、日本の現状、検診受診の利益と不利益については、最新かつ正確な情報をまとめた「ファクトシート」*を検診実施施設に用意しています。
PSA検診の受診をお考えの方は、受診の前後にこちらをよく読み、不安や疑問に思う点があったら医療者より十分な説明を受けてから、受診の判断をするようにしましょう。
なお、PSA値は前立腺がんだけではなく前立腺肥大症、前立腺炎、射精、尿閉などその他の要因によっても上昇します。PSA値を正しく測定するにあたっては、検査時までにあらかじめPSA値を上昇させる要因を排除、もしくは考慮しておく必要があります。
*くわしく知りたい方は、日本泌尿器科学会編集の「前立腺がん検診ガイドライン」(金原出版)をご覧ください。
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