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市民公開講座「前立腺がんの早期診断と治療」前立腺がんを早期発見

最近の前立腺がんの治療について 高知大学医学部泌尿器科教室 山崎 一郎さん

前立腺がんの治療には、大きく分けて内分泌治療で男性ホルモンを抑える全身的治療と、手術や放射線療法を行う局所治療、それ以外に経過観察という方法があります。

前立腺の手術は、前立腺と精嚢腺を切り取って、膀胱と尿道を縫い合わせて行います。この手術は早期であれば、完全に治る可能性が非常に高いのが特徴です。手術時間は約3時間。2〜3週間の入院が必要です。手術の対象は前立腺がんの限局している方。また、年齢が75歳以下で手術の負担に耐えられる方になります。合併症としては尿漏れや、前立腺の横の神経を痛めると、勃起をしなくなるというような合併症が見られます。

一方、最近よく行われるようになってきたのが放射線治療です。おなかを切りませんので、手術に比べ負担が少ない。したがって75歳以上でも元気な方なら受けられます。

病状や負担考え治療選択

高知大学で行っている放射線治療は3通り。外部照射、組織内照射と外部照射の組み合わせ、そして組織内照射だけです。
外部照射は体の外から放射線を当てるだけなので、体への負担はすごく少なく、外来通院でも行えます。これもやはり局所の治療法ですが、多少周りに侵潤している方でも行えます。最近は原体照射といって、放射線を出す機械が回転しながら治療できるようになっています。ただ、前立腺がんを根治しようと思うと、治療を約2カ月間続けなければならないという問題があります。

それに対して組織内照射法というのは、股の間から針を前立腺に刺して、その中に放射線の出るものを通して、中から放射線を当てる方法です。
これも二通りあり、一つはイリジウム192という放射線がでる物質を使う高線量率療法があります。

もう一つはヨード125密封小線源療法です。この治療では5ミリぐらいのシードと呼ばれる放射線の出るものを、80〜100本ほど埋め込んでいきます。限局性前立腺がんの治療成績は手術とほぼ同じ。副作用は、治療中の排尿障害や頻尿。治療後、何年かすると尿道が狭くなったり、直腸に潰瘍ができることもありますが、頻度としては数%と言われています。

もう一つの治療法は内分泌治療といって男性ホルモンを抑える治療方法です。前立腺は男性ホルモンの影響を受け、そのがんも同じように影響を受けています。この男性ホルモンを断つ全身的な治療が内分泌療法です。注射と内服薬ですから放射線療法や手術と比べると負担は少なく、80歳以上の方でも治療できます。抗ガン剤とは違いますので、髪が抜けたり、吐き気がするという副作用はありません。しかし、男性ホルモンが減少することにより性機能や筋肉量が落ち、それに伴い総コレステロールや血糖値が上がることがあります。

検診と、普通の外来で見つかる前立腺がんを比較したことがありますが、検診で見つかる場合は、圧倒的に早期がんが多いのです。前立腺の場合、早期がんは正しい治療を行えば根治できる可能性が非常に高い病気です。まずはPSA検査を受け、早期に見つけることが大事だと思います。

ヨード125密封小線源療法シードを埋め込んだ状態のレントゲン写真
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