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長崎市の事例にみる 前立腺癌検診のあり方 金武 洋 先生(長崎大学医学部泌尿器科 教授)
 草場 泰之 先生(日本赤十字社長崎原爆病院泌尿器科 部長)小森 清和 先生(長崎市医師会理事小森内科クリニック院長)
酒井 英樹 先生(長崎大学医学部泌尿器科 准教授)

今後は検診暴露率の向上をめざして

金武

長崎市における前立腺癌検診のこれまでの成績をまとめていただけますか。

酒井

2002年度から2006年までの5年間の検診結果をお示しします(表3)。

表3 年度別長崎市前立腺癌検診結果

初年度は、一次検診受診者1,293人中、二次検診該当者は12.5%で、その約8割の方が生検を受けられ、癌発見率は一次検診受診者に対して3.6%と極めて高いものでした。その後、年々癌発見率は低下し、2005年は0.2%でした。この低下の最も大きな要因は、複数回受診者の増加が考えられます(表4)。

表4 年度別複数回受診者

2005年度は新規受診者の割合が約38%でした。そのため、2006年度は拠点を2カ所追加して3カ所で検診を行った結果、一次検診受診者は2,424人に増加して新規受診者の割合も約6割まで上昇し、癌発見率も0.9%まで回復しました。まとめますと、5年間で受診者は延べ8,748人、平均年齢は63.5歳で全体の75%が70歳未満でした。総受診者に対する前立腺癌発見率は1.5%、臨床病期は80%以上が限局癌で、臨床病期Dの転移癌はわずか3.0%でした。
長崎市のシステムは単一拠点での募集型検診で、マンパワーの点では効率がよく、前立腺癌検診に関心のある市民が受診するため高い二次検診受診率および生検率につながるというメリットがある一方で、検診への意識が高いために複数回受診者も多く検診効率が著明に低下するというデメリットがありました。これからは、新規受診者の増加と複数回受診者の減少が大きな課題です。

小森

複数回受診者についてですが、経時的な変化は追跡されているのでしょうか。

酒井

ええ、初回の生検では見つからなかったけれども毎回PSA値が高いので再度生検をしたら癌が発見されたというケースもあります。今後、複数回受診者のデータを解析し、受診間隔の検討等を行いたいと考えています。

金武

検診ガイドラインでは、PSA値に応じて1年後または3年後の再スクリーニングが推奨されていますね。

酒井

受診者には説明しているのですが、PSA値が高かった場合は毎年受けたいというのが受診者の心情だと思います。もっと積極的な啓発が必要と考えられます。

金武

50〜60歳代の受診者が多いのは、検診の目的からみると大変好ましいことですね。

酒井

その要因は、検診センターが市の中心部にあったからだと思います。しかし、対象人口に対する検診暴露率は、5年間で6.6%とまだまだ低いのが現状です。

草葉

新規受診者を増やすには、やはり検診場所を増やすことが最大のポイントではないかと思います。

小森

今年度から新しい健診制度が始まったことに伴い、実は特定健診の住民健診は担当母体が医師会から健康事業団にかわりました。今後は健康事業団とも連携を図っていかなければならないと思われます。また、もう一つの可能性としては、受診者の利便性を考慮して夜間や日曜祭日の受診も可能なシステムも必要なのではないでしょうか。要請があれば医師会でも考えていきたいと考えています。

酒井

受診機会を増やせば、受診したいという方はもっと増えるのではないでしょうか。

金武

そのほか今できることとしては、あらゆる可能な手段を駆使して、広報活動、啓発活動を行うことですね。
PSA検診によって臨床的意義の少ない癌まで見つかる可能性はありますが、PSA検診が死亡率ならびに転移癌の減少に非常に有用であることは海外のデータでも証明されています。前立腺癌の現状、将来予測、検診の利益と不利益を国民に啓発した上で、わが国でも適切な検診システムの整備が不可欠です。日本における前立腺癌検診のますますの発展を切に願って本日の座談会を終えたいと思います。どうもありがとうございました。

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