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前立腺がんの早期発見・早期治療 ―からだにやさしい治療を考える―

からだにやさしい手術 埼玉県立がんセンター泌尿器科副部長 影山幸雄先生

早期の前立腺がんが見つかった場合、どの治療法にするべきか悩むところです。条件を一定レベルに揃えて治療効果を比較するとどの方法をとってもあまり成績に差はないのですが、一人ひとりの状態によって私たちはお勧めする治療法を微妙に変えています。

埼玉県立がんセンター泌尿器科副部長 影山幸雄先生 手術が好ましいと考えられる状況としては、まず比較的若い方です。長い目で見たときの放射線の身体に及ぼす影響はまだよくは分かっていませんので、これから30、40年とご活躍していただかなければならない方に対して放射線療法は慎重になります。前立腺の大きい方は、小線源組織内照射で使う線源の入れられる数に制限があるため、また外部照射でも照射野が広くなるため治療が難しくなります。さらに、尿の出にくい方は、放射線療法の後は前立腺がそのまま残りますので、更に出にくくなる場合があり、手術がお勧めだといえます。

前立腺全摘手術に特徴的な問題点は、尿道の周りを取り囲んでいる括約筋を手術で損傷すると起こる術後の尿失禁と勃起不全が挙げられます。この問題を解決するために私たちがとっている方法は「骨盤底筋膜群温存法」と呼ばれる手術です。

図1 骨盤底筋膜温存法前立腺の括約筋を囲っている筋肉に骨盤底筋膜が被っていますが、従来の手術ではこの膜を一回切ってから中に入り尿道にアプローチしますが、温存法では、丁寧に剥がして筋肉と膜の間に入っていき尿道の周りの筋肉を触らないで切っていきます(図1)。前立腺の周りには静脈がまとわりついていますので、従来はなるべく前立腺から離して切って大出血の危険を避けていましたが、実はちょっとした工夫と理解で出血させずに剥がせることが最近分かってきて、新しい手法が使えるようになりました。従来法で行うと術後に大量に尿が漏れる場合が少なくなかったのですが、温存法では大幅に改善されています。

勃起機能については、海綿体神経という神経が前立腺の横を通っていて、これを切ってしまうと勃起不全になります。温存する場合は、海綿体神経と前立腺の間を丁寧に切っていきます。骨盤底筋膜群温存法の治療症例はまだ少ないですが、かなり改善されて実際に性交渉が可能となる方が増えています。

従来は輸血することが多く様々な合併症が問題になりましたが、当センターでのこの半年に手術された患者さんのなかで輸血した方は一人もいらっしゃいません。また、手術の切開線も従来はへその下から大きく切っていましたが、内視鏡や器具などを使用して極力手を入れない手術を行っていますので、現在では7、8cmと短くなっています。長かった入院期間も8〜10日と短縮されています。こうした工夫により、小さい傷で機能を残せるからだにやさしい手術が受けられるようになりました。

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