「ハイリスク症例に対する密封小線源療法の可能性」公演:Nelson N. Stone, MD Professor of Urology & Radiation Oncology, The Mount Sinai School of Medicine, USA、監修:斉藤 史郎先生 独立行政法人 国立病院機構東京医療センター泌尿器科 医長

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追加短期ホルモン療法の有効性

このような高線量が照射された患者で短期ホルモン療法が有効かを考えます。非常に高い線量において、短期ホルモン療法は有効であり生化学的非再発率は94%とホルモン療法を行わなかった75%よりも高くなりました(図15)。

図15

転移についてはどうでしょう。図16はグリソンスコアが8〜10の患者に対する高線量放射線療法の効果を示したもので、照射線量が高いほど非転移となる確率が高くなっています。Cox回帰分析を行うと、外照射とBEDが重要でした(図17)。

図16 図17

グリソンスコアが8〜10の患者での5年全生存率を調べたところ、照射線量が高いほど生存率が高くなりました(図18)。
Cox解析ではやはり補助的な外照射療法とBEDが重要で、グリソンスコアとPSAは因子ではありませんでした(図19)。

図18 図19

ハイリスク前立腺癌への戦略

このことが示すように、高グレードの前立腺癌患者では局所疾患を根絶させれば転移は起きず、前立腺癌で死ぬこともなくなるわけです。このように220Gy超という高線量のBEDを得るためには、45Gyの外照射療法、さらにヨウ素での小線源療法にてD90を130Gyにする必要があり、また、短期のホルモン療法を併用すればさらに効果が高まります。このような130Gyのヨウ素と45Gyの外照射(α/β=2)の併用療法で得られる線量に匹敵するBEDを外照射療法だけで得ようとすると、117Gyが必要になり、とても実行できるものではありません。
220Gy以上のBEDを得るためにこのような併用療法を行うとなると、これがはたして安全なのか、直腸に損傷を与えないのか、という問題を考えなければなりません。図20はRTOGで報告している直腸での有害事象の発生率ですが、88.7%には消化管疾患はなく、10.6%にグレード1〜2の有害事象を認めました。
4例(0.7%)にグレード3〜4の損傷があり、これは潰瘍と瘻孔でしたが、これら4例のうち3例が220Gy未満で、1例は220Gy以上でした。つまり、直腸の有害事象の発生とBEDには関連はありませんでした。

図20

トリモダリティーによるハイリスク症例の攻略

結論ですが、小線源療法に外照射療法と9ヶ月のホルモン療法を併用することで局所制御率は98%となり、高リスクの前立腺癌にはこれがベストな治療法と考えられます。高いBEDが照射されるためには小線源療法は必要であり、また高いBEDを照射してもその安全性は増悪しません。

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