うつと認知症の鑑別における脳SPECT検査の役割は?

Answer
うつでみられる脳血流異常のパターンはいまだ十分確立していません(文献的には前頭葉や前部帯状回の異常が多い)が、臨床症状から両者の鑑別が困難な場合、脳SPECT検査が鑑別に役立つことがあります。

脳SPECT検査が診断に役立った事例

うつと誤診されていたアルツハイマー病

70歳代後半。男性。主訴は元気がない。

  • 2年前から物忘れと意欲の低下がみられ始めた。たとえば、同じことを何回も聞く、頼んだことをしばらくすると忘れてしまう、メモしないと伝言を伝えられない、自分で行動しないなどの症状がみられた。
  • 他院で老年期うつ病と診断され、1年にわたり抗うつ薬の投与を受けていたが改善がみられないため、娘さんが物忘れ外来に連れてきた。内科的ならびに神経学的に異常はみられない。日常生活では、やや意欲に乏しいが整容や入浴に支障はみられない。
  • MMSEは23点(23/24が認知症/非認知症の目安)。MRIでは両側側頭葉優位に脳萎縮がみられる。
  • 脳SPECT検査の結果アルツハイマー病に特徴的な所見がみられる。
    以上のことから、うつ病ではなく認知症と診断した。

3D-SSP解析画像

 

うつに続発して出現したアルツハイマー病

80歳代前半

  • 5年前から聴力低下で補聴器を使用し始めた頃から不眠、抑うつ気分、行動制止がみられ、総合病院精神科にてうつ病と診断され抗うつ薬が開始された。
  • 4年ほど継続して服薬した結果、抑うつ状態は改善してきたが、最近物忘れが目立ってきた。別居している息子宅に何回も電話をかけてくるようになっている。
  • 前医から認知症の鑑別依頼があり物忘れ外来に受診となった。
  • MMSEは30点満点で23点(3物品の再度復唱不可、日時の見当識5課題中2つが不可)。

3D-SSP解析画像