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小児、授乳婦
Q.診断用放射性医薬品を投与された患者が小児との接触を避ける時間の目安について情報はありますか?
F250031
A.

検査当日は抱っこ、添い寝、入浴等の接触する育児を避けさせるべき1)、検査後1日は直接的な接触を避けさせた方が良い2)としている報告があります。

【参考文献】
1) 利波 紀久 他 : アイソトープ診療ハンドブック p.152-153, 2006
2) 草間 朋子 : 放射線防護マニュアル第2版 p.62-65, 2004
Q.授乳中の女性への投与について「診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。」とされている診断用放射性医薬品について、投与すると判断した場合の投与後の授乳停止期間について情報はありますか?
F141411
A.

添付文書には「診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。」との記載以外に、以下のように記載している製剤があります。

放射性医薬品名

添付文書の記載内容 (添付文書より一部抜粋)

FDGスキャン注1)

9.6 授乳婦(一部抜粋)
授乳を避けさせること。授乳婦に投与した場合、24時間授乳を中止し投与後12時間は乳幼児との密接な接触を避けるよう指導すること。

クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP2)

9.6 授乳婦(一部抜粋)
クエン酸ガリウム(67Ga)は授乳している乳房に蓄積するため、授乳する場合は投与後2~3週間の期間をとった方が望ましい。

ベンゾダイン注3)

9.6 授乳婦(一部抜粋)
動物実験(ラット)で乳汁移行性が認められている。

テクネシンチ注-10M4)
メジテック5)

9.6 授乳婦(一部抜粋)
授乳中の女性は投与後少なくとも3日間は授乳しない方が良いとの報告がある。

 

 

(参考1)
国際放射線防護委員会(ICRP)Publication 1286)では、放射性医薬品を投与された授乳中の母親に対し、母乳による乳児の被曝線量が1mSv以下になるまで授乳を停止すべきとし、以下の授乳停止期間を勧告しています。

授乳停止期間

放射性医薬品

3週間以上※1

67Ga、131I-NaI、131I-MIBG

3週間以上※1,2

123I-BMIPP、123I-MIBG、123I-NaI

48時間

201Tl

12時間

99mTc-MAA、99mTcO499mTc-赤血球(in vivo標識)

不要※3

99mTc-リン酸塩、99mTc-HMPAO、99mTc-ECD、 99mTc-MIBI、

99mTc-tetrofosmin、99mTc-PYP、99mTc-赤血球(in vitro標識)、99mTc-DMSA、 99mTc-DTPA、テクネガス(99mTcO4)

不要

18F-FDG、81mKrガス

 

※1 : 少なくとも3週間は停止しなければなりませんが、3週間以上の授乳停止は授乳状態を維持すること自体が困難となります。→中止

※2 : 123I以外のヨード放射性同位体の混入の影響を考慮して3週間以上としています

※3 : 停止不要とする99mTc製剤は、フリーの99mTcが全くない場合を想定しています。より安全性を考慮するなら、4時間の授乳停止(授乳1回分の停止)が勧められています。

 

 

(参考2)

*: 123I製剤に関して、発売当初の製造方法では124Iや125I等の半減期の長い放射性同位体が含まれていましたが、現在はこのような不純物はほぼ生成されない製造方法となっています7)。また、国内の書籍では、123I製剤は化学的挙動が131Iと同一であるが、半減期が短くγ線エネルギーが低いことから、授乳を控える期間は1~2日で十分という報告8)があります。

【参考文献】
1) FDGスキャン注 添付文書(第2版), 2023改訂
2) クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 添付文書(第1版), 2022改訂
3) ベンゾダイン注 添付文書(第1版), 2022改訂
4) テクネシンチ注-10M 添付文書(第2版), 2024改訂
5) メジテック 添付文書(第1版), 2022改訂
6) Valentin J : ICRP publication 128 p. 319-321, 2015
7) 中本 俊輔 : 放射線 15:75-86, 1989
8) 利波 紀久 他 : アイソトープ診療ハンドブック p.156-157, 2006