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クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP
サイクロトロンRI製剤
Q.腫瘍・炎症部位への集積機序は?
F081532
A.

[腫瘍集積機序]1)
クエン酸ガリウム(67Ga)の腫瘍への集積機序についてはまだ十分に解明されていませんが、集積過程については次のように考えられています。

 ・血中に投与されたクエン酸ガリウム(67Ga)は血清中のトランスフェリンと結合し、トランスフェリン-67Ga複合体となり、腫瘍細胞のトランスフェリンレセプターに作用し、細胞内に取り込まれる。

 ・細胞内では、ライソゾームをはじめ細胞質に分布するが、この一部は67Ga-フェリチンとして、また大部分は、microvesiclesや粗面小胞体に運ばれ、そこで腫瘍細胞の機能に必須な高分子蛋白と結合する。

 

[炎症集積機序]1)
炎症部位への集積機序についても十分に解明されていませんが、いくつかの機構が考えられています。

 ・血流増加による集積2)
Itoらは細小動脈の炎症による拡大、毛細管の透過性亢進によりイオン形で細胞に入るのであろうとした。

 ・白血球による取込み3)
Tsanは、ヒトの多型核白血球による67Gaの取込みがリンパ球よりも高く、多型核白血球の膜表面に結合していると考えられるとした。

 ・ラクトフェリンとの結合4)
Hofferらは、67Gaが好中球に多く含まれるラクトフェリンと結合し好中球が炎症部位に集積するとした。

 ・細菌による直接取込み5)
Menonらは、ブドウ球菌やサルモネラ菌など、いくつかの一般的な微生物によって67Gaが取り込まれることを示した。

【参考文献】
1) クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 添付文書(第1版), 2022改訂
2) Ito Y 他 : Radiology 100:357-362, 1971
3) Tsan MF 他 : J Nucl Med 19:36-43, 1978
4) Hoffer PB 他 : J Nucl Med 18:713-717, 1977
5) Menon S 他 : J Nucl Med 19:44-47, 1978
Q.排泄経路・排泄率は?
F081532
A.

67Gaは静脈内投与後 24 時間以内では主に腎臓から排泄されるため、腎臓が最も高い集積を示します。24時間以内に腎から投与量の約12%が排出されますが、その後は肝臓が主な排泄経路となります。投与後1週間以内に投与量の約1/3が排泄され、残り2/3は肝臓(6%)、脾臓(1%)、腎臓(2%)、骨・骨髄(24%)、他軟部組織(34%)にとどまります1)

【参考文献】
1)クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 添付文書(第1版), 2022改訂
Q.生物学的半減期・有効半減期について情報はありますか?
F081535
A.

生物学的半減期は約25日との報告1,2)があります。この値を以下の算出式3)に当てはめて計算した有効半減期は、約2.88日です。

 

1/有効半減期=1/物理学的半減期+1/生物学的半減期
(物理学的半減期は3.26日で計算)

【参考文献】
1) Paul B Hoffer : Gallium-67 Imaging p.3-8, 1978
2) Evelyn E Watson 他 : J Nucl Med 14:840-842, 1973
3) 社団法人 日本アイソトープ協会 : アイソトープ手帳 11版 p.8, 2011
Q.前処置について情報はありますか?
F031539
A.

添付文書1)の「14. 適用上の注意」(一部抜粋)には以下のように記載しています。

14.1 薬剤投与時の注意

14.1.2 67Gaは腸管内へ排泄されるため腹部の病巣への集積と鑑別が困難となる場合がある。そのため、腹部診断には前処置として撮像前に十分な浣腸を施行する。また、浣腸禁忌の場合には経日的に撮像し、集積の移動の有無から診断する。

 

日本核医学会 核医学イメージングガイドライン作成委員会「核医学診断ガイドライン2008」2)の「Ⅷ腫瘍 1.クエン酸ガリウムイメージング」には、以下のように記載されています。

(c)検査の注意点 : 前処置、測定上の問題点、副作用など

 ①前処置として撮像前日に下剤投与または浣腸にて腸管内のRIを排泄させる。

【参考文献】
1) クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 添付文書(第1版), 2022改訂
2) 日本核医学会 核医学イメージングガイドライン作成委員会 : 「核医学診断ガイドライン 2008」 p.96-97, 2008
Q.正常集積部位は?
F151513
A.

生理的集積を示す部位として、涙腺、唾液腺、鼻腔、肺門、肝臓、脾臓、陰嚢、骨髄、腸管等があり、肝は特に集積が高く、他はバリエーションがある1)としている報告があります。

【参考文献】
1) 絹谷 清剛 : 核医学テキスト p.218, 2013
Q.メシル酸デフェロキサミンによる画像への影響について情報はありますか?
F051506
A.

添付文書1)の「14. 適用上の注意」(一部抜粋)には以下のように記載しています。

14.1 薬剤投与時の注意

14.1.1 メシル酸デフェロキサミン投与中に本剤を投与する場合、メシル酸デフェロキサミンの投与はあらかじめ中止しておくこと(本剤とメシル酸デフェロキサミンがキレートを形成し、急速に尿中に排泄されるため、シンチグラムが得られない場合がある)。

 

鉄排泄キレート剤の一種であるメシル酸デフェロキサミンを投与中の患者に、67Gaを投与し48~72時間後に撮像したところ、全身のカウントが低く、診断に必要な画像を得ることができなかった例が報告されています2,3)

【参考文献】
1) クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 添付文書(第1版), 2022改訂
2) Nagamachi S 他 : Ann Nucl Med 2:35-39, 1988
3) Baker DL 他 : Am J Hematol 29:230-232, 1988
Q.67Gaを投与後撮像までに透析をした例について文献報告はありますか?
F061502
A.

67Gaを投与8~12分後(6例)、及び4時間後(2例)に血液透析を行ったところ、それぞれ1.5~8.0%、及び2.2~4.6%の67Gaが血液中から除去されたが24時間後の画質およびカウントは良好で、67Ga投与と透析の間の時間と画質の関連はなかったとの報告1)があります。

 

また、腹膜透析患者1例において、67Ga投与6時間後より透析を開始し、投与12時間後までに投与量のうち0.57%、12時間後から24時間後までに0.66%が失われ、腹膜透析患者において67Ga検査は可能としている報告2)があります。

【参考文献】
1) Marlette JM 他 : Clin Nucl Med 5:401-403, 1980
2) Karimeddini MK 他 : J Nucl Med 22:479-480, 1981